205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:27:28.30 ID:IVmmIEuJo
◇
ツキはなかなか屋敷に戻ってこなかった。
わたしはひとり部屋に戻り、自分の現状について考えてみることにした。
再確認のようなものだ。紙とペンを手に取り、わたしは状況の整理を試みる。
わたしには、この屋敷に来る以前の記憶がない。
その記憶のうち、ほとんどが、前日や前々日の反復のようなもので、一日と一日の区別がつかない。
ツキがやってくるまでずっと、わたしとシラユキは、同じ一日を繰り返しのような生活を送っていた。
わたしは、わたしについて知らない。
名前も、なぜこの屋敷で暮らしているかも、シラユキとどんな関係なのかも分からない。
同様にわたしは、シラユキが何者なのかも知らない。
シラユキという呼び名が本当の名なのかも、分からない。
けれどわたしは、そんな生活に何の疑問も抱かなかった。
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