207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/30(木) 07:28:57.55 ID:IVmmIEuJo
ペンを机の上に放り投げて頬杖をついた。
情報の整理は捗らなかった。現に起こったことだけを列挙しても、何もわからない。
かわりに思ったことがある。
つまり、今この状況の最大の問題は、わたしが自分自身の望みを理解していない点にあるのだ。
わたしは、思い出したいのか、思い出したくないのか。
思い出すべきなのか、思い出すべきではないのか。
この屋敷での生活を変えたいと望んでいるのか、望んでいないのか。
でも、そんなの分かりっこなかった。
肝心の記憶がどのようなものなのかが分からないなら、思い出したいかどうかなんてわからない。
中身の見えない箱を目の前に差し出されて、「これが欲しいか」と訊かれているようなものだ。
中身を知らないのだから、答えようがない。
そして中身を知ってしまったら、知らなかった頃に戻ることはできないのだ。きっと。
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