過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/02(日) 07:45:42.90 ID:lXtenV6yo

 彼は何かの歌を口ずさみながら歩いた。わたしには、その光景は少し意外に見えた。

 なんだったかな。明るい曲調だけれど、少し寂しげな。
 悲しい曲だった気がする。よく思い出せない。
 別に思い出す必要もないのだけれど、会話のない退屈を紛らわすため、わたしは記憶を掘り返すのに専念した。

 そうだ。カスケーズの「悲しき雨音」だ。

 彼は不意に、歌うのをやめてわたしを見る。そして、困ったような顔で口を開いた。

「疲れたのか?」

「まだ、歩き始めたばっかりだよ」

「そういうことじゃないんだ」

 妙に落ち着いた口調だった。何かを心に決めたようなしっかりとした声。




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