過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 07:36:27.68 ID:7IYKPM3ao



 しばらく経ったあとだというのに、わたしがふたたび屋敷に向かったとき、シラユキはまだそこに立っていた。
 まるで待ち構えるみたいに。
 わたしと彼女は、傘をさしたまま少しのあいだ視線を合わせた。

 それだけで、彼女の方からも何か話があるんだろうと分かった。
 わたしにそう分かったということは、彼女の方も、わたしから話があることが分かったのだろう。
 
 シラユキはそれから視線を落として、顔をわずかに俯けた。悲しげな表情だった。
 でも、なんだか不安定な悲しみ方だった。憤りと諦めを行き来しているような、そんな悲しみ方。

「少し、歩きませんか」

 わたしは散歩から戻ってきたばかりだったけれど、頷いた。
 どうせ、屋敷の中に戻る気にはなれなかったのだ。

 彼女と並んで歩き出すと、なんだか懐かしいような気持ちになった。
 ツキと並んで歩いたときにも、こんな感覚があった気がする。
 いや、懐かしいと思うのも、当たり前か。



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