過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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269:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 07:40:57.13 ID:7IYKPM3ao

「だから、ここは死後の世界なんでしょう? ツキが、ヨモツヘグイって言ってた。
 死後の世界に迷い込んだ人間が、その世界の物を口にすると、帰れなくなるって話。
 そうなるかもしれないと、ツキは疑ってた。彼はきっと、最初からこの世界がどんなところなのか知っていたんでしょう?」

 答えを待って、わたしは黙り込む。いつもより、雨の音がよそよそしく思えた。

「……概ね、正解です」

 彼女は、感情的になるのを恐れているみたいに、無表情のままだった。

「ただ、この世界の食べ物を食べても、帰れないということはありません。
 この世界が、死後の世界、というわけでもありません。ただ、あなたの記憶に関しては、正解です。
 あなたはここじゃない世界で生きていて、そこで自ら命を絶とうとしました」

「そう、なんだ」

 死後の世界ではない、という言葉も気になったけれど、記憶の内容が事実だと肯定された衝撃の方が大きかった。
 分かっていたことなのに、どうしてこんなにも胸が苦しいんだろう。



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