過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 05:34:30.97 ID:YX4Y62yro



 風が吹いた気がした。冷たく湿った風だ。少しだけ雨を揺さぶって、すぐに消えた。
 生き物の気配のしない森の中に、わたしたちは立ち尽くしている。

「死後の世界ではない、と、さっき言いました。では現実なのか、と訊かれるとそうではありません」

 シラユキは話し始めた。わたしは話の続きを聞くべきなのだろうかと考えた。
 でも、もう無駄なのだろう。わたしは聞くしかない。聞いたうえで選択しなくてはならない。
 
「上手く説明するのは難しいですが、この世界は、あなたを中心に出来上がったものです。
 というよりは、あなたこそが世界そのものである、という言い方をすべきかもしれません。 
 あなたの心象風景が具現化されたもの、それがいくつかの現実的な要素によって補強されたもの、とも言えます。
 厳密には異なりますが、走馬灯や妄想と言い換えることもできるでしょう」

 心象風景。走馬灯。妄想。
 それならたしかに、現実とは言えない。死後の世界とも言えない。

 ということは、このシラユキとの会話も、わたしの頭の中での出来事ということになるのか。
 要するに、すべて、わたしの妄想ということに。




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