過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/08(土) 06:19:11.77 ID:Onzl2ZvFo

 どうにかしてツキと連絡が取れたらいいのだけれど、手段はない。
 少し躊躇ったけれど、彼の名前を呼んでみることにした。

「ツキ」

 声は森の中に静かに溶けていった。
 雨の音が落ち着いていたこともあって、声は奇妙な響きで辺りに広がっていく。

 何かがおかしい、ともう一度思った。これまでと様子がまったく違う。
 でも、考えたって仕方のないことだ。何はともあれ世界はこういうふうに出来ているんだから。

 歩を進めていくうちに雨粒が細やかになっていくことに気付いた。
 もちろん雨は止んだりはしない。その確信はあった。

「ツキ!」

 もう一度呼びかけてみても、返事も何もなかった。
 人の息遣いすら感じられない。




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