579:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/23(日) 03:31:16.66 ID:seth9kfao
「雨が降っている間、ツキはわたしと一緒にいてくれた。
わたしはツキの家で過ごすことができた。シラユキの背中を撫でていることができた。
その時間が好きだった。一緒にいてくれて、嬉しかった」
ツキは泣きそうな顔をした。わたしは今、どんな顔をしているのだろう。よくわからなかった。
「でも、雨が止んだら、ツキはわたしの傍からいなくなってしまう。いつも。
ツキはどこかに遊びに行って、わたしはどこにも行けないまま。
だから……雨が止んだなら、わたしはたったひとり、現実に向き合わなきゃいけなかった」
わたしはずっと傍にいてほしかった。どんなときだって。
でも、永遠に雨が降り続くことはない。雨が止んでしまうことを、わたしは受け入れなければいけなかった。
雨はいつか止んでしまう。
いつでも、いつまでも、ツキが一緒にいてくれるわけではない。
そんなのは、当たり前のことなのだ。
わたしはそれを望んでいたのだ。現実的に不可能だったって、理屈として間違っていたって、わたしはそうしてほしかった。
ツキに非があるわけではない。
どこにも行けなかったわたしが悪かったのだ。
彼を追いかけることのできなかったわたしが。
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