592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:59:19.02 ID:k0zfLIWso
「シラユキ」
とわたしは彼女の名前を呼んでみた。
答えはないかもしれない。でも、とにかく呼びかけてみた。
「なんですか?」
と、シラユキはそう返事をしてくれた。わたしはまだ自分がここにいるのだな、と思うことができた。
「どうしよう?」
わたしは咄嗟にそう訊ねていた。彼女は困った顔をした。
怖かった。
本当は分かっている。わたしはもう一度向こう側に行くべきなのだ。
そこには、何か根本的な転換のようなものが待っているのかもしれないのだ。
もしそれがなくても、それを期待して生き続けることだって、できるのだ。
ツキも、シラユキも、きっとそれを望んでいるのだ。
シラユキは何かを言おうとしたようだった。
それから諦めたように口を閉ざす。そして、もう一度何かを言おうとした。そういうことの繰り返しだ。
「あなたのことが、好きですよ」
シラユキは、長い逡巡のあとにそう言った。それはきっと、嘘じゃないのだ。
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