597:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:02:25.19 ID:k0zfLIWso
そっか、駄目なのか、とわたしは思った。
そうだろうな、駄目なんだろう、きっと。駄目なら仕方ない。
ツキがこんな声で、必死になってわたしに語りかけているのだ。
理屈も何もない、感情や、衝動のようなものだけで。
だったらもう、いくら考えても無駄なのだろう。
シラユキはしばらく唖然とした顔をしていたが、やがてわたしの方を見て、くすくすと笑った。
「どうするんです?」
「だって、駄目なんだって」
「それじゃあ……」
「うん。そうだね」
あんなふうに言われたのでは、仕方ない。
それに、もしまた機会があるなら、彼は雨が止んでも、一緒にいてくれるそうだから。
嘘かもしれない。でも、信じてみたくなった。
痛かったり、苦しかったりするかもしれない。でも仕方ない。ツキが、駄目だと言うんだから。
なんだか、いろいろと考えていたことのほとんどすべてを、今の一瞬で、まるごとすべて忘れてしまった。
怖さだけは、まだ残っていたけれど。
633Res/436.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。