過去ログ - 少女「雨が止んだなら」
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587:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:54:56.84 ID:k0zfLIWso

 面倒だ面倒だって言っていたって仕方ないじゃないか、とわたしの中のわたしが言う。
 
 とにかく冷静になってみよう、とわたしの中のわたしはわたしを説得した。
 わたしに、ここを出るだけの理由があるのだろうか?
以下略



588:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:55:55.11 ID:k0zfLIWso

 ツキのため?
 でも、どうだろう。ツキだってずっとわたしのことを覚えているわけではないはずだ。
 いつかは忘れてしまう。それに、忘れなかったとしても、ツキだっていつか死んでしまうのだ。

以下略



589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:56:50.32 ID:k0zfLIWso

 こんなことばかり考えているから、お母さんはわたしのことが嫌いだったのかもしれないな。
 四六時中こんなことばかり考えているような子供を誰が好きになるだろう。

 わたしだってできればみんなに好かれたいと思ったけれど、あんまり上手くはいかなかった。
以下略



590:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:58:05.78 ID:k0zfLIWso

 そう、全部が今更だ。
 
 もう、ぜんぶぜんぶ終わってしまったことなのだ。
 わたしはとっくに決断を済ませていた。
以下略



591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:58:48.39 ID:k0zfLIWso

 でも、それだってそんなに悪いことばかりではない。
 少なくとも、一度終わらせてしまえば、それ以上はない。わたしはわたしであることを終わりにできる。
 そうすれば、もうこんなふうに考え込む必要もない。

以下略



592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:59:19.02 ID:k0zfLIWso

「シラユキ」

 とわたしは彼女の名前を呼んでみた。
 答えはないかもしれない。でも、とにかく呼びかけてみた。
以下略



593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 03:59:59.59 ID:k0zfLIWso

 雨の音と風の声が絶えず響いている。

 わたしは少しの間、何も考えずにその音に耳をすませていた。本当に何も考えなかった。

以下略



594:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:00:42.02 ID:k0zfLIWso

 ふと、泣き声が聞こえた気がした。
 
 それは向こう側から聞こえていた。誰の声だろう。知っている人の声だ。
 わたしはその人がそんなふうに泣くのを初めて聞いた。とても激しい泣き方だった。
以下略



595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:01:21.30 ID:k0zfLIWso

 もういいじゃないか、とわたしは思う。
 ぜんぶ終わりにしよう。やめてしまおう。もう怖い思いをするのは嫌だ。

 わたしは体を動かした。シラユキに何かを言おうと思ったけれど、口がうまく動かなかった。
以下略



596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/24(月) 04:01:48.89 ID:k0zfLIWso

 もう一度、向こう側へ繋がる穴を、わたしは振り返った。
 何も映っていない。ただ、音だけが聞こえる。景色は滲んでいる。
 
 わたしは急に泣きたい気持ちになった。心細いような、寂しいような、そんな気持ちに。
以下略



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