607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:16:16.23 ID:tPA7g4lio
  
  雨の匂い。肌に触れる濡れた質感。痛みであることを忘れそうになるほどの強い痛み。 
  全身の感覚が鋭敏になっている気がした。  
  でも、むしろ逆だったのだろう。鈍麻していたのだ。鋭いのは痛覚だけだった。 
  
  他のものは、ほとんどすべて機能していなかった。 
  
  一挙に流れ込んできた痛みに、意識は鋭く呼び起こされた。 
  視界は相変わらず暗い。ひどく肌寒い。全身がズキズキと痛む。 
  
  音。雨の音、雷の音、風の音。 
  わたしの身体は暗闇の中、どこかに横たわっている。 
  どこだろう。痛みを堪え指先を動かし、手の感触で確かめた。 
  
  ざらついた、濡れた感触。背中にごつごつとした、尖った痛みがある。  
    
  身体が重く、呼吸が上手くできない。鼻にも口にも耳にも何かが詰まっているような異物感。 
   
  全身の関節という関節が軋み、痛む。 
  身体のすべてが強く脈動しているような、そんな気がした。 
  
  
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