619:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/25(火) 07:32:32.33 ID:tPA7g4lio
◇
数日後、さしたる感慨もなく退院し、わたしは家に帰った。
家に帰るのは久しぶりだという気がした。
でも、久しぶりだと感じたところで、結局自宅は自宅だ。何かが変わるわけじゃない。
だからといって、思ったほど嫌な感じがしたわけでもなかった。ベッドの寝心地は、少なくとも病院よりはマシだ。
ツキが電話を掛けてきたのは退院したその日の夕方で、窓の外ではまだ雨が降っていた。
「明日、暇か?」
まあ、暇だった。退院の日はちょうど土曜日で、明日は学校が休みだったからだ。
月曜のことを考えると、今から気が重い。
「出掛けないか」
とツキは言った。彼の態度は堂々としていた。
なんだかいろんなものが吹っ切れたような、そんな態度。
「でも、明日は雨かもしれないって、天気予報で」
「晴れるよ」
「……根拠は?」
「晴れる」
根拠はないらしい。
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