91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/23(木) 08:22:59.57 ID:eYA5xb04o
  
 「それから、この屋敷に人を呼んで見張りをしてもらうこともできません。 
  街にはあまり人がいませんし、ここは丘の上ですし……。 
  ましてや、そうなると寝ずの番か、それに近いことをしてもらうことになります。 
  証拠もなしにそんなことをしていただくわけにはいきません」 
  
  そこでシラユキは少し嘘をついた。……と、思う。 
  直感的に、彼女は建前を口にしているのだと分かった。 
  人を呼べないのではなく、呼びたくないのだ。 
  
  わたしを、街の人々に会わせたくないのだ。なぜなのかは、分からないけど。 
  
 「それから、仮に誰かが忍び込んでいたとしても」 
  
  シラユキは、どう説明するかを迷うように、一瞬、躊躇した表情を見せた。 
  
 「根拠は言えませんが、わたしたちに危害を加えることはないと思います」 
  
 「……なぜ?」 
  
  彼女は困ったような顔をした。またこの顔だ、とわたしは思う。 
  この顔をされると、わたしはもう何も言えない。 
   
  
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