15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/21(火) 16:22:40.70 ID:1Ac64vbSo
◇
家に、着いた。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、まだ少し酔いの残る頭を冷やすようにごくごくと飲んでいく。
時計を見てみると、もう少しでてっぺんを越えるところだった。また明日も仕事だ。年が明けるまでは少し忙しい時期が続くだろう。
歯を磨きながら、初瀬の言葉を反芻する。幸せは――妥協することで生まれるものなんだろうか。
もう、やえも28歳だ。妥協を、覚えなければいけない歳なのかもしれない。
「……あー、やだやだ。寝るか」
「おやすみ、やえちゃん」
「……ん?」
聞こえるはずのない、他人の声。空耳か?
いや、それにしてははっきりとし過ぎていた――そんなに疲れてたかな――まさか、泥棒――?
色んな考えが頭のなかでグルグル回る。とにかく、今の声が何なのかはっきりさせないと寝るに寝れない。
手を伸ばし、電気を付ける。すると、部屋の隅に――
「あっ、逆に起こしてしまったかのう。すまんかった、そんなつもりはなかったんじゃが」
やえより十歳は若い少女が、広島弁をこぼしながら立っていた。
ゆったりとウェーブした赤茶色の髪に、ほんわかと柔らかい、しかし整った顔立ち。
美少女、という形容がよく似合う女の子だった。だが、しかし、なんで今ここにこんな子がいる?
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