過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/06/04(火) 03:23:41.90 ID:E/Gr+tAqo
彼女も立ち上がると、真鍮の右足をがしゃがしゃと鳴らしながら、教会の奥へ引っ込んでいく。
そこには小部屋があり、机に椅子、ささやかなベッドが置かれていた。
シーツだけは一応真新しいものに替えているが、埃っぽさは残る。
投げ出すように横になると、ベッドがみしみしと軋んで、亀裂の入る音さえも聞こえた。
この廃教会を彼女が見つけて、一週間ほどになる。
建っている丘の上からの遠景が気に入って滞在しているが、そろそろ、『腹』が減ってきた頃合いだ。
丘の下にある海に面した村の住民から適当に見繕って『精』を得ようかと思っていたら、少女がやってきた。
しかも――――目をつけていた村長の息子に、恋をしているという。
淫魔「……あーもう……あのムカつくガキ、絶対また来んだろ……」
心底疲れた声で、ぼやく。
右足が、疼いた。
黄金に輝く脚甲に、『中身』はない。
叩けば空洞音がするし、事実、太ももの半ばまでしか入っていない。
その昔人間界で起こった争いに参じて、失った脚の代用として甲冑からもぎ取り、魔術で接合したからだ。
膝も、爪先も、足首も、慣れ親しんだ自分の脚のように動かせるし、生身さながらの触覚もある。
『人間』と長く話すと、その繋ぎ目が疼く事がある。
それが何故なのかは彼女には分からないが、考える事さえも、今は怠い。
しばらく、漆喰の剥がれた天井を眺めていると……唐突に、瞼が落ちた。
そのまま、『淫魔』は夢の中へ。
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