過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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215: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/06/04(火) 03:32:46.54 ID:E/Gr+tAqo
時は、琥珀を溶かした夕景へ戻る。

廃教会の三角屋根の上に座る淫魔、その右足に夕日が映る。
真鍮の輝きに、はるか眼下からの祝いの音が乗り、響いた。
妙な疼きは、無い。
その代わりに、胸の中と目頭に、熱い脈動だけがある。

そっぽを向きながらも、その藍玉色の瞳は、村の広場の中心へ向く。
『淫魔』の眼は、村人たちが米粒に見えるようなこの距離でも一人一人の顔を見分けられる。
輪の中心には、聞いた通りの精悍な若者と、物怖じしない『例の少女』がいた。
白いレース編みで飾り立てたドレスは、よく似合っていた。

淫魔2「……貴女ってば、こんな所で何してるの?」

人影は、二つに増えていた。
三角屋根の頂点に爪先で立ち、揃った翼と尾でバランスを取る、『淫魔』がいた。
その目の色は、夕日に置いすがる空の色と、同じだ。

淫魔「……別に。飲み損ねただけだっつの」

淫魔2「そう?」

淫魔「アイツさ、スゲーよな」

淫魔2「?」

淫魔「アタシらが何万年経っても着れないのにさ。アイツ、二十年足らずであっさり着やがった」

淫魔2「……ああ…………」

得心して、彼女も、村で行われている婚礼の儀の中心を見つめた。


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