過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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29: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:21:40.65 ID:4RdAMvYao
魔界騎士は、人界の戦場でもよく見かける、盾を前面に構えた正統の姿を取った。
後ろに引いた剣を中段に構え、単純な胴薙ぎの動作。
構えを見るだけで、戦士は直感する。
この敵は……『強い』と。

戦士もそれに倣い、同じ構えを取る。
一人きりの前衛を前にして、魔法使いが右側、僧侶が左側に広がって、三角形の陣形を取った。
そのまますぐに詠唱を始め、魔力が後列の二人に集まっていく。

魔界騎士の右手が、一瞬ぶれる。
とっさに盾を上げた時には――――すでに、左手が重く痺れていた。

戦士「ぐぅっ……!」

盾越しに感じた衝撃は、もはや剣のものではない。
さながら、戦槌の一撃だ。
下腕部に骨が裂けるような鋭い痛みが走る。
打ち込みの強烈さたるや、盾がもってくれたのが奇跡としか思えなかった。

競り合いに移ろうというその時、戦士の右手側から、回り込むような軌道で氷の槍が魔界騎士の頭を狙う。
詠唱を終えていた魔法使いが放ったものだ。
だが、盾で防ぐでもなく、避けるでもなく。
氷の槍は、真下から突き上げられた盾の縁で砕かれる。
その時に生まれたわずかな力の緩みを盗んで、戦士は、後ろへ跳んで距離を取った。

魔法使い「っ何で、今の反応できんのよ!? どんな目ぇしてんの、こいつ!」

戦士「……く、そ……!」

すぐに僧侶は、戦士へ回復の呪文をかける。
感じた通り、左手の骨にヒビが入っていたようだ。
戦士は警戒したが、意外にも、魔界騎士の追撃はなかった。
今まさに回復を施しているというのに――――その場から、動かない。


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