過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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33: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:25:03.65 ID:4RdAMvYao
魔法使いが思ったのは、それだ。
鉄壁、神速、そして、苛立ちすら感じる程の――――桁を外れた、圧倒的な破壊力。
呪文ですらない剣技の一撃で、僧侶も戦士も戦闘不能に追い込まれ、残った魔法使いもそれに近い。
たったの一撃で……壊滅させられてしまった。

魔法使い(何、なのよ……これ…………勝てないように、なってんじゃないの……?)

爆発に晒されて、足元の絨毯はボロボロに焦げている。
壁面は抉れて瓦礫が散って、足の踏み場もない。
その中で、魔法使いは……杖を支えに、萎えかけた脚に力を注ぎ、立ち上がった。
無意識のうちに、負傷した二人を庇うように前に出る。

魔法使い「何だって、の……よ……! あんたみたいなのがいるなんて……聞いて、無いわよ」

――――不可解だった。
これほどまでに手強い魔族がいたというのなら……世界のどこかで、耳にしたはずだ。
なのに、この魔界騎士は魔王の城で、突如として現れた。
言動の端々からは、気まぐれなようにも思えず――――その暴威も、行動理念も、何一つ掴めない。
恨みがましく睨みつけても、この魔剣士は依然として、彫刻のように仁王立ちしている。

魔界騎士「…………千年」

おもむろに、『彼』が声を発する。
それが果たして『口』から出ているものなのかは、分からなかった。

魔界騎士「千年前に、我が眷属は滅んだ。……生じたばかりの俺を除いて」

淡々と。
淡々と――――言葉を紡ぎ続ける。
感傷も、感慨も、背負った悲劇をひけらかす様子も、そこにはない。
鸚鵡返しの魔法の鏡のように、魔界の騎士は、ただ語る。


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