過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:04:52.43 ID:GshVNNRdo
野営地から少し離れた森の中、泉のほとりに二頭立ての馬車が停まり、馬は索具を解かれて、水を飲んでいた。
魔王の居城のすぐそばにあるというのにその泉は冷たく透き通り、昼であれば水底の魚影までも見て取れた。
まるで自然界が魔王の力に抗おうとしているかのように。
もしくは、魔王自身が――――自らに挑む者への、最後の『休息地』として用意したかのようにも見えた。
二頭の馬は聞き慣れた足音がふたつ近づいてくると耳をそばだて、水面から口を離し、振り返る。

僧侶「……長い旅でしたね。ここまで連れてきてくれて、ありがとう」

二頭の馬は、蹄を打ち慣らして僧侶へ近づき、その顔を寄せる。
彼女は二頭の「仲間」の首を抱き締め、目を閉じた。

魔法使い「……感動のシーンなんだろうけど、なんで私には寄ってこないかなぁ?」

一歩離れてその様子を眺めていた魔法使いが、不満を口にする。

魔法使い「まぁ、いいけどさ。……つらくなっちゃうし」

僧侶「……転移の呪文をお願いします、魔法使いさん」

魔法使い「はいはい。……で、目的地は……あんたの国の、馬屋でいいのね?」

僧侶「はい」

転移の呪文を施すべく、一歩前に出た魔法使いの顔を、馬が一なめした。
くすぐったさ、照れ臭さは感じても――不思議に、唾液の臭いも気にならず、不快感は起こらない。

魔法使い「ったくもう。今さらコビ売っても遅いわよ。ほら、さっさと帰っちゃいなさい」



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