過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
1- 20
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:07:24.38 ID:GshVNNRdo
僧侶「……魔法使いさん?」

魔法使い「え?」

僧侶「大丈夫ですか? いえ。『城』が目の前にあるのに……『大丈夫』なはずが……」

魔法使い「あははっ……何言ってんの。あんたこそどうなのよ?」

とんがり帽子の端をぐい、と引下げ、目元を隠すようにしてから彼女は笑い飛ばす。
目は、無意識に深く心を映す、磨き抜かれた鏡そのものだから。
どんな一流の詐術を身に着けていたとしても、目に映る心だけは隠せない。
魔法使いの様子を見てとり、僧侶は、少しだけ逡巡してから……答えた。

僧侶「……怖いです」

意外にも、彼女はきっぱりとそう言った。
恐怖を乗り越える手段の中でも――――口にして認めてしまう事に、勝るものはそうない。
誤魔化すのではなく、彼女は、自らの弱さをことさらに強く、露呈させた。

僧侶「でも……だからこそ、私達はここに来た。……世界中の人々に、こんな思いをもうさせないため、に」

一息に言い切る事に、僧侶はつまづいた。
震える喉が最後の最後、弱音を吐きたがってしまって――――息を呑んだ。
そんな彼女の精一杯の奮起を微笑ましく見て、魔法使いは、再び帽子の端を指先で摘む。

魔法使い「あんたって、弱いくせにガンコよねぇ。まぁ、……伝わったけどね?」

僧侶「……もう、戻りましょうよ。ほら、ここまで……いい匂いが」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
228Res/202.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice