過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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90: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:36:46.14 ID:UMPAG6Zoo
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決戦から四年が経つ春の日、魔法使いは、王国の修道院を訪れた。
真っ白な建物で、よく晴れた日の雲のように大きくて、足を踏み入れず、ただ眺めるだけでも
心が引き締まり、指を組みたくなるような――――そんな、修道院だ。

軋みを上げる扉を開け、礼拝堂へと入る。
そこには――ほんの数年では変わらない細い背中が、すぐ正面に見えた。

魔法使い「やほっ。元気だった?」

声に驚いた様子もなく、その法衣に包まれたなよやかな僧侶は立ち上がり、楚々とした仕草で振り向いた。

僧侶「ええ。魔法使いさんこそ、お元気そうで……安心しましたよ」

魔法使い「あんた、変わんないわねー。つまんないわよ、もう」

僧侶「変わらず毎日祈る事。それだけが、私の『職業』ですから」

魔法使い「そのマジメっぽさも。……たまには、一杯飲まない?」

子どもっぽく、盃を仰ぐ仕草をしてみせると、僧侶は苦笑した。

僧侶「折角ですが、遠慮いたします。戒律上、お酒はいただけないので」

魔法使い「破っちゃいなさいよ。神さまだってさ、世界救った女の子にバチなんて当てないでしょ?」

僧侶「ええ、間違いありませんね」



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