過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」
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20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/24(金) 17:16:27.56 ID:raX+wY0oo
翌日、始発が動き出す頃、私は目覚めた。
寝ぼけ眼で部屋を見渡すと、まだ貞夫と芦屋さんは眠っているらしい。
悩んだが、二人が目覚める前に部屋を出ることにした。
礼を言いたいのはやまやまだが、何しろ昨夜は走り回った挙句
風呂にも入らず(このアパートに風呂はなかった)、
化粧も汗で流れ更に一晩放置した状態だ。男に見せたい状態ではない。
あとでお礼のメールか電話を贈ろう。その辺にこだわる貞夫ではあるまい。

せめてものお返しに、きゅうりの酢の物を作り
(本当にきゅうりとこんにゃくしか食材がなく愕然としたが)置いておいた。
鍵を閉め、外の窓から投げ入れる。
そうしてヴィラ・ローザ笹塚を後にした。

自宅に帰る。まだ出勤までには時間があり、ゆっくりできそうだ。
シャワーを浴び、タオルで身体を拭いていると、貞夫のことを思い出す。

恵美(……あいつのタオル、うちと同じ洗剤の匂いがしたな)

瞬間、彼の家に泊まったのだという現実が押し寄せ、気恥ずかしさが湧いてくる。

恵美(いや、芦屋さんもいたし! 単に親切だし! 貞夫は私に興味なんかないし!)

恵美(……って落ち込むから考えるのやめよう、うん)

リビングに戻りテレビをつけると、昨夜の銃撃事件がニュースで取り扱われていた。

恵美(これが魔王の仕業だとしたら……やっぱり奴は許せない)

恵美(エンテ・イスラのためだけじゃない。日本のためにも、一刻も早く魔王を倒さなければ)

覚悟を改め、表情を険しくしていると――

恵美「ぅえっ!?」

テレビに映る事件現場と野次馬、その中に一瞬映った貞夫と芦屋さん、
そして黄色いテープの中にあるデュラハン号。
ああそうか、デュラハン号を回収しに行ったらこの有様だったのか……。
携帯を取り出し、貞夫にメールを送ってみる。

恵美「テレビ見ました、デュラハン号は大丈夫でしたか……っと」

こういうケースで被害者の自転車がどうなるのかは知らなかったが、
もし戻ってこないのなら、そして戻ってきてもあの故障状況を考えれば
弁償したい。責任は私にあるのだから。が、貞夫は拒むだろう。
悩ましく思いながら会社へと向かった。


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