過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/24(金) 17:10:50.54 ID:raX+wY0oo
真奥「んー……」

何か悩んでいるらしい。はしたない女と思われただろうか。
ふと見れば横から女子高生らしき店員が、あわわどうしようという顔でこちらを凝視している。
不安に苛まれながら待つと、

真奥「じゃあ君がいいなら、それで。任せてよ、ポテト山盛りにすっからさ」

笑ってそう言ってくれた。

***

その後ひとまずマグロバーガーのセットを注文し、
カウンターが見える位置のテーブルに座った。
アイスコーヒーを飲みながら真奥さんの方を見やると、

――確かにちょっと美人でしたもんね? ね? 真奥さん、ね?
――ねって三回も言うな! ちーちゃん何よ? 俺があの人といらっしゃいませ!

何やら先ほどの店員と話している。
……でかい、わね。まさか彼女だったりするのかしら。
もしそうだとしたら、私の行為は恋人同士に水を差す横恋慕ということになってしまうのだけど。

……恋、なのかしら?
胸に浮かんだ言葉はあまりにも直接的で、そうだと確信することが躊躇われた。
剣技なら誰にも負けない勇者なのに、こんな普通のことには弱気になるものねと自嘲する。
恋なのか、単に親切が嬉しかったのか、まだ分からない。
けれど、使命を果たせる当てもない停滞した日々の中で、
今日感じた気持ちが自分の心を軽くしてくれたことだけは間違いなかった。


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