過去ログ - 洋榎「次鋒戦と副将戦が無くなるんやて」
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862:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/20(水) 03:20:05.71 ID:0vEhL5pco
由子「……?」


郁乃「窮地に立たされとるんは君やない。それは寧ろ絹恵ちゃんの方や……」


そう言って郁乃は泣きじゃくる絹恵を指差した。

想像を絶する痛みからか、絹恵は完全に戦意を喪失している。
今の彼女に2本目の指を切るという意思など毛頭無いだろう。


郁乃「自分で指を切るゆうんは、事故でそれを失うんとは訳が違う……」

郁乃「脳の混乱や意識の喪失で痛みを感じなくなる事も無いからなぁ……」

郁乃「鎮痛剤も麻酔も無いこの状況での指切断がどれ程の苦痛か……」

郁乃「絹恵ちゃんのあの顔を見れば一目瞭然やろ?」


郁乃は振り返り、微笑みながら今度は由子の指を指し示す。


郁乃「その指を1本……切り落とす勇気があれば……」

郁乃「この勝負……確実に君の勝ちやで……?」


由子「…………っ」


郁乃の言う通り、絹恵が指切りを続行する事は不可能に見える。
恐怖を乗り越え指を1本切れば、間違い無く勝者となれるだろう。

だがそれは、指切りがそれだけ大きな苦しみを伴うという事の証左でもある。
あんな絹恵の様子を見せられては、由子の恐怖心も益々増大していくばかりだ。


郁乃「さぁ……どうする……? 真瀬ちゃん……っ!」


由子「うぅ……」


出来る事ならば、こんな勝負から今すぐ逃げ出したい。
可能か否かの話であれば、それは勿論可能≠ナある。

が、由子の脳裏に洋榎の言葉が蘇る。


『自分の指を切るしか助かる道は無い……っ!』

『確信≠ェあるからこそ……絹にこんなお願いをしとるんや……』

『今ここで指を切らな、それより残酷な方法でお前は殺されるっ!』


由子(洋榎は知っている……私達が本来知り得ない核心的な情報を……)

由子(勘よりも具体的で信頼性の高い何か≠以ってそれを感じ取ったのよ……)

由子(でなければ……あの子が絹恵ちゃんに指を切らせる筈が無いわ……っ!)


何があろうと変わる事無く洋榎の中に存在し続ける絹恵への深い愛情。
嘘偽りの無い純粋なその想いは誰の言葉よりも心に響き信用に値する。


生き残る為に……私はどうすればいい……?


由子「…………」


由子「切らなきゃ……私も……指を切らなきゃ……!」



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