21: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:42:08.41 ID:JjihbRFAO
―10日後―
アンヘル「悪いなマリア。せっかくの休みの日に付き合ってもらっちまって。」
マリア「気にしないで。目の不自由なあなたがシガンシナ区を一人で出歩いてる場面なんて、想像しただけで胃が痛くなるわ。」
22: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:42:34.48 ID:JjihbRFAO
アンヘル「大丈夫だ。帰りはゼノフォンか誰かが送ってくれるだろうからな。お前はもう帰ってゆっくり休め。腹の子の為にな。」
マリア「そう。分かったわ。それじゃ。」クルッ
アンヘル「おぅ。ありがとな。」
23: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:43:34.61 ID:JjihbRFAO
アンヘル「良いんだよ。俺は後悔してない。だからそんな面すんなよハゲオヤジ。」
カスパル「やかましいわ!」
アンヘル「へへへっ。ところで、ゼノフォンはいるか?」
24: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:44:40.87 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「えぇ。先般の調査兵団の一件があって、材料の流通が再開されたと聞きましてね。発注して納品を待つより、直接向こうに行った方が早いと思ったんです。それに向こうの方が開発の設備も整ってますから。」
アンヘル「なるほどな。」
ゼノフォン「まぁ、しかし、そのせいで貴男との約束を3日も過ぎてしまいました。納期に遅れるなど開発者の名折れ。深くお詫びします。」
25: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:45:36.66 ID:JjihbRFAO
アンヘル「それで? 進捗状況は?」
ゼノフォン「ふふふっ。」
アンヘル「・・・。」
26: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:46:44.96 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「どうです? 分かりますか?」
アンヘル「あぁ。大体は分かる。サーベルの柄みたいな形になったんだな。」
ゼノフォン「そうです。従来の操作装置はアンカーを射出する事のみが目的でしたので、銃のような形をしていましたね。」
27: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:48:04.83 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「どうぞ。切れ味が鋭いですから気をつけて持って下さい。」スッ
アンヘル「これは・・・・・・薄いな。それに、しなる。黒金竹をここまで加工したのか?」
ゼノフォン「いえ、それは超硬質スチールです。」
28: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:49:01.41 ID:JjihbRFAO
アンヘル「えっ?」
ゼノフォン「壊れる事を前提に予備をいくつも持ち歩く。それは逆に言えば『壊れても良い』って事ですよね?」
アンヘル「まぁ、極論はな。」
29: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:49:54.39 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「そうです。刃を柄に差し込んで・・・」カチッ
ゼノフォン「この様になります。」スッ
アンヘル「どれどれ・・・・・・うぉっ、軽いな。」
30: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:55:47.30 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「いえ、納期に遅れた上に完成さえ遅れたのは開発者の風上にも置け」
アンヘル「もう納期の話は良いって! ホント、変なトコは真面目だな!」
ゼノフォン「失礼な。全面的に真面目なつもりですが?」
31: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:56:18.92 ID:JjihbRFAO
アンヘル「違う。それよりもっと前の段階で、だよ。」
ゼノフォン「・・・っ」
アンヘル「もともと黒金竹と氷爆石を使った新しい武器の開発を命じられた時点じゃ、俺とお前は別々で動いてたハズだ。だけど、途中からお前は俺の〈装置〉の改良に積極的に協力しだした。」
32: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:58:07.64 ID:JjihbRFAO
ゼノフォン「・・・。」
アンヘル「・・・。」
ゼノフォン「・・・。」
33: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/03(月) 23:58:59.08 ID:JjihbRFAO
アンヘル「・・・そうだな。」
ゼノフォン「コリーナと・・・」
アンヘル「・・・ソルムの敵討ちだ。」
34: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:00:01.55 ID:LdHmvj4AO
アンヘル「・・・。」
ゼノフォン「自他共に認める変人の私ではありますが、中身は人間なんですよ。」
アンヘル「・・・。」
35: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:01:05.91 ID:LdHmvj4AO
ゼノフォン「その上で貴男の〈装置〉・・・いや、〈立体機動装置〉はもっとも有効だと、私の開発者としての経験が訴えかけたんです。」
ゼノフォン「まぁ、そういう意味では打算ですね。コリーナの敵討ちという私の願望を叶えるために、貴男に協力した次第です。」
アンヘル「そうか。」
36: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:02:07.68 ID:LdHmvj4AO
アンヘル「・・・分かった。」
ゼノフォン「では、替刃運搬の件を詰めなければいけませんので、私はこれで失礼します。帰りは誰か手の空いてる者に送らせますよ。」スクッ
アンヘル「悪いな。頼むぜ。」
37: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:05:22.11 ID:LdHmvj4AO
ジャン「そんな経緯が・・・」
エルヴィン「まぁ、これは巨人との戦闘に役立つ知識ではないからな。座学では習わなかっただろう。」
ジャン「はい。」
38: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:06:16.95 ID:LdHmvj4AO
ジャン「い、いえ! とんでもない! 興味深いお話でした。ありがとうございます。」
エルヴィン「ふふふっ。まぁ、兎にも角にも、立体機動装置にはそういった先人達の魂が込められているんだ。我々は彼らの魂や絆を背負って巨人と戦っている。」
エルヴィン「その立体機動装置をこうも上手く扱える君は、やはり色んな意味では調査兵団に向いていると私は思っているんだよ。」
39: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:07:35.41 ID:LdHmvj4AO
エルヴィン「おっと、そんな話をしている内に、もうすっかり良い時間になってしまったな。」
ジャン「えっ? あ、本当ですね。」
エルヴィン「さぁ、今日はこの辺でお開きにしよう。私は部屋に戻る。君も風邪を引かないうちに戻りなさい。」
40: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:08:48.96 ID:LdHmvj4AO
ジャン(“誰々の死を無駄にしない”なんて、生き残った奴の不幸自慢だとばかり思ってたぜ。)
ジャン(でも、ようやく分かった。マルコ。俺はお前みたいな人間をこれ以上増やしたくないらしい。)
ジャン(この目に映る人を、もう誰も死なせなくないって。そして、俺にはその力があるって、お前が無責任に言いやがったばっかりにな。)
41: ◆51UnYd7yHM[sage saga]
2013/06/04(火) 00:09:20.58 ID:LdHmvj4AO
以上です。
ありがとうございました。
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