22: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:41:52.05 ID:/rY7KXeB0
 「如月君、落ち着いて聞いてくれ」 
 「何ですか……今更……」 
  
 私は相手が社長だとわかっているのに、憎しみを抑えきれずにいた。 
  
23: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:42:29.55 ID:/rY7KXeB0
 そこまで考えてくれていた……? 
  
 「しかし、君のあまりにも辛そうにしている所を見てね。 さすがに私ももう潮時だろうと思ったのだよ」 
 「社長……ごめんなさい。 失礼な事を言ってしまって」 
  
24: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:43:13.10 ID:/rY7KXeB0
 「彼には口封じされていたのだが、仕方ない。 ここがプロデューサー君の入院している病院だ」 
  
 社長は私に住所と部屋の番号が書かれた紙をそっと握らせてくれた。 
  
 「行きたまえ。 如月君の大切な人の元へ」 
25: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:43:55.70 ID:/rY7KXeB0
 「千早へ」 
  
 冒頭には短く私の名前だけ書かれていた。 
  
 「千早がこれを読んでいると言う事は、とても辛い思いをした後だと言う事になるな」 
26: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:44:21.73 ID:/rY7KXeB0
 「でも、わかって欲しい事がある」 
  
 たぶん、社長が言ってた事かな……? 
  
 「千早の事を考えた上での判断だったんだ」 
27: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:45:00.24 ID:/rY7KXeB0
 「本当に、すまなかった。 俺は少し体調を崩してしまったんだ」 
  
 謝る事なんてない……私も以前同じような事をしたから。 
  
 「だが、心配しなくていい。 少し長引いてしまうだろうが最終的には確実に完治する」 
28: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:46:24.04 ID:/rY7KXeB0
 私は事務所を飛び出し、向かい風の吹く中、必死に走った。 
 社長がわざわざ私にくれたチャンスを逃したくはない。 
  
 私が探し続けていた――大切な人の声が聞こえたような気がしたから。 
  
29: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:46:54.74 ID:/rY7KXeB0
 私は必死に走り続け、病院へと辿り着く。 
  
 「こ、この部屋は……この番号の部屋はどこですか……!」 
  
 受付で部屋番号を言い、場所を聞こうとする。 
30: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:47:41.86 ID:/rY7KXeB0
 部屋の場所を聞き、私は部屋の前に辿りついた所で一息をつく。 
 さすがにこんな血相を変えた様子で行ったら驚かれるだろうし…… 
  
 落ち着いて部屋のドアをノックして。 
  
31: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:48:13.25 ID:/rY7KXeB0
 「ち、千早――ど、どうしてここに!?」 
  
 私の顔を見て驚くプロデューサー。 
  
 「あんな手紙を残しておきながら……どういうつもりなんですか」 
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