過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/16(日) 23:41:58.30 ID:m6/l0qGM0
「今日、楽しかったね」
「そだな、まぁ悪くない休日だったと思う」
マンションを出て、由比ヶ浜と二人並んで歩く帰り道。
秋も深まりつつあるこの季節、既に周囲は闇に包まれていて、街灯が仄かに道を照らしている。
以下略
153
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/16(日) 23:47:28.24 ID:m6/l0qGM0
「何それ、ホント素直じゃないよね、ヒッキーって」
「馬鹿言え、俺ほど素直な奴も珍しいぞ」
「うわー、どの口が言うんだか」
くすくすと楽しそうに笑う由比ヶ浜。
以下略
154
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/16(日) 23:52:55.37 ID:m6/l0qGM0
「ん、とりあえず料理はホント美味しかったぞ」
「えへへ、ありがと。そう言ってくれると嬉しい。あとはゆきのんの手助けなしで作れるようになんないと、だけどね」
「つーかよく考えたら、今日の俺って何もしてないな。お前ら二人が料理しながらキャッキャウフフしてるのを見て、出てきた料理を食べただけだし」
「キャッキャウフフって……」
以下略
155
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/16(日) 23:58:11.71 ID:m6/l0qGM0
「でも、何もしてないってことはないよ」
「いや、実際そうだし」
「ううん、ちゃんとあたしのことを見ててくれたじゃん」
「見てただけだけどな」
「それが、大事なんだよ」
以下略
156
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:03:22.86 ID:cihz6v550
「それ、良かったね、もらえて」
「ん? あぁ、まぁ小町に良いお土産をもらえて良かったわ、感想聞いて雪ノ下に伝えてやんないとな」
金木犀の方へ視線を向けたままの由比ヶ浜の言葉に、俺も手元を見たまま素直にそう返した。
しかしまぁ、渡したら渡したで色々うるさそうな気もするけど。
以下略
157
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:08:57.52 ID:cihz6v550
そんな風に、帰った後の事を想像して少しうんざりしていたところで。
由比ヶ浜の、ひどく優しげに響く呟きが、俺の耳に静かに届く。
「小町ちゃんだけ、じゃないよ」
「あー、まぁ俺にもくれたな、ついでだろうけど」
以下略
158
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:14:49.09 ID:cihz6v550
知らず息を呑む。
威圧感なんて微塵もないのに、それでもなぜか圧倒されたように言葉が出ない。
こんなにも由比ヶ浜の存在を大きく感じたのは、きっと初めてだった。
俺はそんなにも驚いた表情をしていたのだろうか――由比ヶ浜は一度大きく目を見開くと、相好を崩して悪戯っぽく笑う。
以下略
159
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:19:44.33 ID:cihz6v550
「金木犀、綺麗だね」
「ん、まぁそうなんじゃねぇの?」
「何それ、なんか適当」
「って言われてもな。柄でもないし、そもそも花の善し悪しなんて分からんしな」
「善し悪しじゃないよ、大切なのは」
以下略
160
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:25:46.22 ID:cihz6v550
「善し悪しとか言っちゃったら、まるでそれが分からないと駄目みたいじゃない。花を愛でるのに必要な条件なんてないよ、ただ綺麗だって感じる心があれば、それでいいの」
「何だそりゃ、それなら大抵の人間が該当するだろ」
「そうだよ、誰にだって、花を愛する資格はあるんだよ」
「ふーん」
「ね、どう? ヒッキーも、綺麗だって思う?」
以下略
161
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:31:35.45 ID:cihz6v550
さておき、俺の答えに満足したのか、由比ヶ浜は小さく一つ頷いて、また俺の方へと顔を向けてくる。
歩きながらきょろきょろするのは危なっかしいぞ。
雰囲気的にそう言える感じではなかったので、黙って視線を向けるに止めたけれど。
「うん、それなら良かった」
以下略
162
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/17(月) 00:37:30.04 ID:cihz6v550
視線にこめたそんな俺の意思を、今回も爽やかにスルーして、由比ヶ浜はゆっくりと言葉を紡いでゆく。
軽い調子の指先の動きに反して、その目も、その声も、ひどく真剣だった。
向けるこちらの意識を全く逸らせなくなるほどに。
「花ってね、どんなに綺麗に咲いてたって、それを見てくれる人がいなかったら、愛でる人がいなかったら、意味を失っちゃうんだよ」
以下略
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