過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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197: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/25(火) 23:34:42.07 ID:V0EWwy6v0
 なおも腕を引っ張ってくる小町に対して、俺も断固たる決意で腰を上げまいとする。
どうにも嫌な予感がするのだ――というか、そういう搦め手でくる相手の用事なんて碌なもんじゃあるまい。
ここは逃げの一手が正解だろう。こうなったら梃子でも動かないぜ。
そんな俺の意思を見て取ったのか、小町が眉を寄せつつ、ふぅと小さく息を吐く。

以下略



198: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/25(火) 23:38:22.85 ID:V0EWwy6v0
 すくっと立ち上がり臨戦態勢に入る。
あらゆる思考が瞬間吹き飛んだ。もはや言葉はいらない。
梃子? 何それ美味しいの?
俺をダシに使って小町をデートに誘おうとはふてえ野郎だ。否、不貞野郎が。

以下略



199: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/25(火) 23:43:53.86 ID:V0EWwy6v0
「いやー……焚きつけといて何だけど、ここまで過激に火が点いちゃうんだ。小町的にポイント高いような低いような。困っちゃうなー。でもお兄ちゃんも、そろそろ本気で小町離れすること考えた方がいいんじゃないかなーとか思ったり」
「そうだな、それはまた今度考えようか」
「あ、ダメだ、これ全く考えてないパターンだ」
「とにかく話は後でな、まずはどこに行けばいいのかを速やかに教えるんだ」
「お兄ちゃん、目が据わってるよ」
以下略



200: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/25(火) 23:52:01.05 ID:V0EWwy6v0
「で、標的は? 誰なんだそいつは。スタバのどこで待ってるって?」
「んー、まぁ行けば分かるよ。そう言ってたし」
「そうか、まぁ分かった」

 微妙に引っ掛かるところがないでもなかったけど、この際細かいことはどうでもいい。
以下略



201: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/25(火) 23:58:43.76 ID:V0EWwy6v0
「じゃあ小町、良い子で待ってるんだぞ、俺が全て片付けてくるから」
「ちょい待ち、その前に着替え着替え」
「あ? 別にいいよ、どうせ汚れるし」
「良くないよ、礼儀としてもほら」

以下略



202: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/26(水) 00:04:17.03 ID:sc+fY0ZW0
「じゃあ行ってくる」
「行ってらっしゃーい、お土産話楽しみにしてるから。あ、寄り道しちゃダメだからね」
「もちろんだ」

 言われるまでもない。この精神状態でどこに寄り道しろと?
以下略



203: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/26(水) 00:08:14.15 ID:sc+fY0ZW0
 普段はリア充の巣窟であるスタバなど見るのも嫌な俺ではあるが、今はあの緑のマークを早く見たくて仕方がない。
俺の小町に粉をかけようとする馬鹿には、相応の報いを与えてやらねばならないのだから。

 そうして辿り着いた約束の地には、なぜか微妙に人だかりができていた。
有名人でも来てるのか、あるいは何か珍しいイベントでもやっているのか。
以下略



204: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/26(水) 00:12:49.15 ID:sc+fY0ZW0
「お、来たね。思ったより早かったじゃない、小町ちゃんってばどうやって焚きつけたのかなー? さっすが言うだけのことはあるねぇ」

 が、時既に遅し。
相手の目は俺を完全に捉えており、その笑みはただ俺だけに向けられている。
具体的な言葉はなく、特別な行動もなく、なのに俺の体は凍りついたように動かなかった。
以下略



205: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/26(水) 00:17:42.49 ID:sc+fY0ZW0
「ん? 何ぼーっとしてんの? あ、さてはお姉さんに見惚れてたか? もー浮気はだめだよ。雪乃ちゃんに告げ口しちゃうぞ?」

 席に座ったままにっこりと笑っているのは、良くも悪しくも見知った顔――雪ノ下さんちの最強お姉さん、陽乃さんだった。
なるほど、人だかりができるのもむべなるかな。
日曜の昼下がり、混み合った店内にあってなお、その笑顔の輝きは他の全てから隔絶されて見えている。
以下略



206: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/26(水) 00:24:18.60 ID:sc+fY0ZW0
 だからこそ、俺はこの人が苦手だった。
暴力的な程に輝く光は、隠れる為の闇をも根こそぎ取り払ってしまう。
眩し過ぎて直視できない。その先に何があるのかを窺うことすらできない。
日陰に生きる俺と対極にいる、まさに陽の存在なのだ、この人は。
あまりにも強過ぎる。
以下略



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