過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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20: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:16:27.75 ID:9jYWSIZM0
 と、そんな俺の思考を読んだわけでもないだろうが、ふと柔らかな笑みを浮かべる雪ノ下。
思わず見惚れてしまいそうな程に綺麗で清らかな微笑。
しかし、こいつの本性を知っている俺は騙されない。
雪ノ下は、辛辣になればなるほど良い笑顔になるのだ。
端的に、俺をおちょくってる時にこそこいつの笑顔は輝くとさえ言ってもいいだろう。言いたくもないが。
以下略



21: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:20:42.62 ID:9jYWSIZM0
「それにしても再提出って、一体何て書いたの?」
「黙秘する」
「駄目ね、あなたに人権はないわ」
「おい待て、奪うならせめて黙秘権までにしてくれ」
「それで、何て書いたの?」
以下略



22: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:25:56.17 ID:9jYWSIZM0
「……今までとおんなじだよ。家庭に入りたいって書いたら何故か怒られた」
「呆れた、まだそんなことを言っていたの? いっそ消えてしまえばいいのに」
「会話の端々でさり気なく俺の失踪を望むな」
「ねぇ比企谷くん、諦めるのは良くないわ。例え合格する可能性が限りなくゼロに近かったとしても、その確率はゼロに漸近するだけで決して無くなるわけではないのよ。だからせめて今くらい叶わぬ夢を見ておきなさい」
「お前今自分で自分の言説否定したからな。叶わないって言い切ったからな」
以下略



23: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:28:55.51 ID:9jYWSIZM0
「大体あなた、自分で進路は私立文系って言ってたじゃない。興味のある大学だって無いわけではないのでしょう?」
「まぁそりゃ無くはないけどさ。でもあれだ、今回のは第一志望を書けって事だったし、それならこう書くしかないだろ」
「何胸を張って戯言を言っているの? 息を吸うことか息を吐くことか、どちらかだけでも止めてくれない?」
「止めてたまるか。俺はゲイラになるつもりはない」

以下略



24: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:32:41.22 ID:9jYWSIZM0
「とりあえずあれだ、書き直せって言われたし、今度は普通に大学名を並べていくことにするわ」
「最初からそうしなさい。この程度のことすら言われなければ分からないなんて、あなたの頭の容量は何キロバイトなの?」
「ごく自然にフロッピー以下に設定すんな。幾らなんでももうちょっとあるっての」

 わざわざキロと付け加える辺りがこいつの性格の悪さを端的に示していると言えよう。
以下略



25: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:35:53.14 ID:9jYWSIZM0
「そもそも、大学進学って決して悪い事ではないでしょう。元よりあなた勉強自体は嫌いではないみたいだし」
「ばっかお前、ぼっちが大学デビューとかどういう事態になるか分かってんのかよ? そんなもん悲劇しか生まれねぇよ。そりゃもうハムレットも真っ青なレベルだぞ」
「戯曲家が聞いたら激怒するレベルの暴言ね」
「ん? つーかよく考えたらハムレットとか普通に友達いるじゃん、しかも身分は王子さまだし。何それ、悲劇とか言って俺よか全然マシじゃねぇのか? そんなことで不幸だとか温いっての。んな程度のメンタルで社会を生き抜いていけると思うなよって言いたいね」
「あなたも社会から脱落寸前でしょうに、何を偉そうに語っているの?」
以下略



26: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:39:18.29 ID:9jYWSIZM0
「とにかくだ。キャンパスライフとか言ってそんなリア充の巣窟に一人叩き込まれてみろ、次の日には陽のあたる場所で俺を見ることはなくなるぞ」
「一日で何が起こるのよ……」

 頭が痛いのか、雪ノ下は悩ましげな表情でこめかみを軽く押さえていた。
持てる者には想像できないかもしれないが、環境の変化に希望を見出すと変な方向にブーストがかかるのが生粋のぼっちだ。
以下略



27: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:44:40.17 ID:9jYWSIZM0
「そもそも、始める前から諦めているのがおかしいのよ。どうせなら大学デビューを目指して派手にやらかして、そんな自分に絶望してからにしなさい、諦めるのは」
「完全に手遅れになってんじゃねぇか」
「大丈夫、その一部始終は私が余すところなく記録しておいてあげるから。きっと素敵な思い出になるはずよ」
「なるわけあるか、トラウマにしかならねぇよ。お前俺を追い詰める為に手段選ばなさ過ぎだろ」
「今のうちにHDビデオカメラを購入しておこうかしら」
以下略



28: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:47:25.04 ID:9jYWSIZM0
「んで? 俺のこと散々言ってくれたけど、お前はどうなんだよ?」
「私?」
「あれだけ言うんだから、さぞかし立派な進路を考えてるんだろうなぁ」

 特に深い意味はないけど、さっきまでの仕返しとばかりに踏ん反り返って言ってやると、雪ノ下はより一層好戦的な目になった。
以下略



29: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:51:42.77 ID:9jYWSIZM0
「まぁあなたに教えてあげる理由なんてないけれど、何も考えていないと思われるのは癪に障るし、特別に話してあげないでもないわ」
「なんでそんなに偉そうなんだよ」
「と言っても、まだ検討段階というところなのだけど」

 そう言って前置きしてから、雪ノ下は地元の国立大学の名を挙げた。
以下略



30: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:55:12.12 ID:9jYWSIZM0
「なぁ、雪ノ――」

 問いかけようとしたところで、ふと思う所があって動きを止める。
よくよく考えたら、国立理系という道は、正確には雪ノ下の目指す道というよりも姉の陽乃さんの通った道だった。
雪ノ下は姉が自分よりずっと優秀だと考えていて、今までずっと追いかけながらも決して追いつけず、それでも目標とし続けていて。
以下略



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