過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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347: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:20:20.22 ID:9XZaaUq/0
「鬱陶しいと言えば、あなたの髪、随分伸びてきたんじゃない?」
「できれば鬱陶しいという単語で思い出してほしくなかったな、それ」
「早めにカットに行ってきなさい、正直とても見苦しいわ」
「そこまで言うか」
「自分では気付いていないのかもしれないけれど、あなたの目と長髪の相性は最悪よ。不審者か自殺志願者にしか見てもらえないと思うわ」
以下略



348: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:27:05.46 ID:9XZaaUq/0
「いやでもこれ、まだそんな言われる程は伸びてないと思うけどな。また今度行くから、それでいいだろ」
「呆れたずぼらね、他はともかく、その前髪は自分で気にならないの? 目に入りかけてるじゃない」
「あぁ、たまに入るな、確かに」

 結構髪質が硬めなので、目に入るとちょっと痛いのだ。
以下略



349: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:32:02.85 ID:9XZaaUq/0
「切りなさい」
「お? いやちょっと待って、その言い方はおかしい。だから今金無いし、また今度行くから、それでいいだろうが」
「良くないわ、今すぐ切りなさい。言っておくけれど、これは周囲を不快にさせない為というだけでなく、あなたの為でもあるのよ?」
「基本俺の髪に関することなのに、何で俺の為がサブ扱いなんだよ、順番おかしいだろ」
「いい? 髪が目に入ることで視力障害を起こすこともあるの。これ以上目つきが悪くなるような要因を放置しておくなんて、断じて許されないことよ」
以下略



350: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:39:41.46 ID:9XZaaUq/0
「……そう、それなら仕方がないわね」

 数秒の溜めの後、雪ノ下は首を振りつつ立ち上がった。
表情にも態度にも動きにも、やれやれ本当はこういうことなんてしたくないのだけれど、と言わんばかりの倦怠感が滲んでいる。
そして俺の方には目もくれず、一直線に自分の鞄へと歩いて行く。
以下略



351: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:45:30.54 ID:9XZaaUq/0
「今何か不愉快なことを考えられていた気がするのだけれど」
「気のせいだろ。というか勘弁してください」
「なぜ謝るの? やっぱり良からぬことを考えていたんじゃない」
「違う。いきなり刃物持ってこられたら誰だってびびるだろうが」
「その結果反射的に謝るのね。その遺伝子に刻み込まれているかのような卑屈さは、とてもあなたらしいと思うわ」
以下略



352: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:48:44.61 ID:9XZaaUq/0
「って、おいちょっと待て、そのハサミで何をするつもりなんだ?」
「信じられない程の鈍さね、今まで何を聞いていたの? 話の流れから想像できるでしょう」
「いやできるけど、何もそんなお前がやんなくても」
「遠慮はいらないわ、さっきも言ったけれど、周囲の人たちの為だもの」
「じゃなくて、お前素人だろ。ミスられたら堪らんぞ」
以下略



353: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:52:05.93 ID:9XZaaUq/0
「あら、随分安く見てくれるじゃない。以前にも言わなかったかしら? 私は昔から何でもできたって。本格的な調髪ならともかく、前髪を整える程度のこともできないと思われているだなんて、捨て置く訳にはいかない暴言だわ」

 ――挑発と受け取ってしまうわけで。
そして、こうなった雪ノ下はそう易々とは止まらない。
浅からぬ付き合いで、そのことはよーく分かっている。
以下略



354: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/15(月) 23:56:27.82 ID:9XZaaUq/0
「いやいや、だからちょっと待てって。失敗したらどうすんだよ、前髪やっちまったら洒落にならないぞ」
「安心しなさい、それ以上悪くなることはないから」
「既に失敗してるみたいに言うなっての、ただちょっと伸びてるだけだから、これ」
「それが見苦しいと言っているのよ。それとも――本当に、信用できない?」

以下略



355: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/16(火) 00:00:55.23 ID:awuWAcgF0
 多分、ここで俺が否定の言葉を口にすれば。
そうすればきっと、雪ノ下は素直に引き下がってくれるだろう。
だけどそれを――雪ノ下を信用できないという言葉を、俺は口に出来るのか?
自問自答してみる無理だ。思考どころか句読点を挟む間もない即答だった。ちょっと自分でもびっくりした。

以下略



356: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/07/16(火) 00:06:15.00 ID:awuWAcgF0
「んなことねぇよ、お前のことまで信用できなくなったら、いよいよ俺も終わりだわ」

 ここでは嘘や誤魔化しは無しにする。
ただ何か恥ずかしいので、言うのは視線を逸らしながらで。

以下略



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