過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
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2013/06/08(土) 02:21:44.39 ID:9jYWSIZM0
「何? 変に意識しないでくれる? 気持ち悪いから」
「だからいちいち俺を罵倒すんな」
「別にファーストネームで呼ぶくらい気にする程のことでもないでしょう。大体あなた、由比ヶ浜さんのことも結衣って名前で呼んだことあるじゃない」
「ん……まぁ、そりゃそうか」
以下略
38
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:24:52.64 ID:9jYWSIZM0
しかし、そう考えると少し気も楽になった。
それにまぁこんな機会でもないと、こいつを名前で呼ぶことなんてできないだろうし。
物は試しと改めて雪ノ下へと向き直る。
対する雪ノ下の方もまた、それを受けて立つとばかりに腕を組んで、不遜な表情のまま真っ直ぐにこちらに視線を向けてきていた。
視線が交差し、周囲に静寂が訪れる。
以下略
39
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:28:29.74 ID:9jYWSIZM0
一瞬の停滞。
その間も交わされる視線。
雪ノ下の瞳は変わらず真っ直ぐに俺を見据えていて。
それを意識すると、余計に身体が強張ってしまう。
胸の奥で心臓がやけに騒いでいる。
以下略
40
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:32:53.36 ID:9jYWSIZM0
一瞬開きかけた口は、しかし意に反してすぐに噤まれてしまう。
よく考えたら、いつぞやの由比ヶ浜の時とは状況が違い過ぎるのだ。
あの時は話の流れがあって、むしろ名前で呼ぶ方が自然な状況になってたし、会話の勢いでさり気なく口にすることだってできたけど、今は違う。
部室に二人きり、雪ノ下と向かい合わせ、静寂の空間。
おまけにこんな思いっきり待ち構えられた状態で、しかも真正面から見据えられた体勢でとか、何段ハードル重ねてんだよ。
以下略
41
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:38:48.16 ID:9jYWSIZM0
中々喋らない俺に痺れを切らしたわけでもないだろうが、雪ノ下の表情がぴくりと揺れる。
それが切っ掛けとなったのか、ようやく俺の口が動いてくれた。
まるで溜めに溜めた想いを吐き出すように、一言。
「……雪乃」
以下略
42
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:44:08.45 ID:9jYWSIZM0
ほとんど反射的に俯いて、そのまま頭を抱えてしまう。
無理! これ絶対無理! こいつを名前で呼ぶとか難易度高過ぎ!
何かすげぇ心臓がばくばく言ってるし。顔とか絶対赤くなってるぞ、これ。
つーか動揺し過ぎだろ、俺。
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43
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:47:43.80 ID:9jYWSIZM0
恐る恐る視線を上げると、雪ノ下の絶対零度の視線が俺に向けられている――ということはなく。
いつの間に体勢を変えたのか、俺の目に映るのはその後ろ姿だけ。
雪ノ下はこちらを見ておらず、背中を向けたまま微動だにしない。
その表情は全く窺えなかった。
以下略
44
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:51:49.00 ID:9jYWSIZM0
「えっと」
「黙りなさい」
「いや」
「黙りなさいと言っているのよ、頭だけでなく耳までおかしくなったのかしら、全く救い難いわね、いえそもそも安易に救うつもりなんて決してないけれど」
「だから」
以下略
45
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 02:55:44.42 ID:9jYWSIZM0
立て板に水といった感じで捲し立てるように早口でそう言い残すと、雪ノ下はぱっぱっと周囲を片付けて、鞄を手にとって風のように教室を出ていった。
結局、あれから一度も俺の方を見ることもなく。
故に、俺はあいつがどんな表情をしていたか、全く分からなかった。
でもそれで良かったと思う。
というかそうでなかったら困るくらいだ。
以下略
46
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 03:00:23.73 ID:9jYWSIZM0
ため息をつきつつ、窓の外へと目をやる。
空はどこまでも晴れ渡っていて、遠く運動部の掛け声が響いていた。
あぁ、今日も皆が青春を謳歌しているのだろう。
全く自分には場違いな空気だ。
以下略
47
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/06/08(土) 03:05:45.85 ID:9jYWSIZM0
ということで、今日はここまで。
ヒッキーとゆきのんの恋愛未満って感じのやり取りが大好きです。
原作ではガハマさん優勢かもですが、逆転を期待してます、ホント。
今後ですが、別に長編ってわけじゃなく、ちょこちょことオムニバス形式で書いて行けたらいいなあ、とかぼんやり考えてます。
以下略
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