過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 22:49:41.49 ID:rJ2hA1u/0
「ほう、これはこれは。いや何とも仲が良くて結構なことだ」
「聞き捨てなりませんね。それは冗談にしても笑えないですよ、平塚先生。この男と仲が良いなど……」
「ちょっ、落ち着け雪ノ下」
雪ノ下の細くしなやかな指が、すーっと俺のこめかみの方に下りてきた。
以下略
408
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 22:54:55.14 ID:rJ2hA1u/0
「ふふ……なるほど、陽乃の言った通りだな」
「姉さんが、何か?」
「いやなに、君たち二人を見ていると初々しくて微笑ましいとか、からかうと一々反応が楽しいとか、まぁ愉快そうに話していたよ」
「姉さんらしい歪んだ感想ですね、そんな妄言を真に受けるのはどうかと思いますが」
「そうかね? だが雪ノ下、聞けば君は比企谷にファーストネームで呼ぶことを許可したそうじゃないか、他の異性には許していないだろうに」
以下略
409
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 22:58:10.94 ID:rJ2hA1u/0
「きゃっ」
いきなりのことで驚いたのか、そんな可愛らしい声が雪ノ下の口からもれた。
突然のことで強張ってはいるものの、掴んだ両手は信じられないくらいに柔らかく、また普段の冷徹さからは想像できないくらいに温かい。
が、今はそのことに感動している余裕なんて微塵も無く、ただ事前にダメージを防ぐことができた安堵の気持ちが心を支配していた。
以下略
410
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:03:24.17 ID:rJ2hA1u/0
いかん、動揺していたせいでまた口が滑ってしまった。
あれ? でも後でとは意外な気がするな、いつもなら言葉の前に拳が飛んでくるのに。
「いや、どうせならさっさと終わらせたいんで、やるなら一思いに今きて下さい」
「君のその変な諦めの良さは何なんだろうな、逆に毒気を抜かれてしまうぞ。それに今君を殴れば、とばっちりを受けてしまうからな、どの道その提案は却下だ」
以下略
411
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:08:12.96 ID:rJ2hA1u/0
ふと気付けば、平塚先生がまた楽しそうな笑みを浮かべながらこちらを見ていた。
笑いを堪え切れないと言った風な表情が、妙に気にかかる。
「さて、では気も大分晴れたし、そろそろ私も帰ることにしよう」
「あぁ、やっぱりただの気晴らしだったんですね」
以下略
412
:
◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:14:03.25 ID:rJ2hA1u/0
「ん? でも俺たち別に何もしてませんけど」
「いやいや、いいものを見せてもらったよ。何でもできる子だと思われていても、苦手なものはあったんだな」
「?」
「では二人とも、あまり遅くならないように。あと――」
以下略
413
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:20:57.72 ID:rJ2hA1u/0
は? と俺が間抜けな声を上げるのを聞くでもなく、平塚先生は今度こそ部屋を後にする。
一瞬呆けて、それからようやく気付く……まだ雪ノ下の手を握ったままだったことに。
と同時に、手に伝わってくる様々な感触が、堰を切ったように俺の脳内を駆け抜ける。
きめ細やかな肌の滑らかさを、その芯にある温もりを、そんな諸々を知覚して。
以下略
414
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:27:51.16 ID:rJ2hA1u/0
しかし、それは真実俺の自業自得なわけで。
これはもう素直に謝るのが先決だ。
「えっと、すまん、雪ノ下」
「……ぁ」
以下略
415
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:37:10.50 ID:rJ2hA1u/0
「これは、その……って」
「動かないで」
正面から向き合って反省の弁を述べようとしたのだが、俺の手をがっちりと捉えたままの雪ノ下の手がそれを許してくれなかった。
あれ? これは何でしょうか?
以下略
416
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◆/op1LdelRE
[saga]
2013/07/21(日) 23:42:05.10 ID:rJ2hA1u/0
「あの、雪ノ下、お前の怒りはごもっともというか、その、全面的に俺が悪かったというか」
「――少し黙っていなさい、比企谷くん」
「……」
感情を無理矢理抑え込んでいるかのような平坦な声に、俺は口を閉ざさざるを得なかった。
以下略
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