過去ログ - 佐々木千枝「千枝は、わるい子です」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/09(日) 00:24:00.15 ID:j7T+CQqZ0
 初めて会ったとき、プロデューサーさんのことがとても怖かったのを憶えている。彼の体はオトナ相応の身長があり、顔を見ようとすると見上げなくてはならなかった。見知らぬオトナの男性というのは酷く恐ろしく、これから長い間彼と一緒にいるのかと思うと、不安で不安でしょうがなかったものだ。

 しかし、その不安もすぐに解消されることになる。プロデューサーさんは私が見上げていることに気づくと、膝立ちになって目線を合わせてくれた。そして一言、柔和な笑みを浮かべながら挨拶をくれる。私は二三度口を開いたり閉じたりした後、なんとか挨拶を返すことができた。羞恥で頬が熱くなるのを感じたが、彼は私を笑うことなく、ゆっくりと自分のことを話し始めた。
 
 プロデューサーさんの口調はゆったりとしたもので、声音は優しく聞き取りやすかった。きっと私に配慮してくれていたのだと思う。
 
 私は彼の話を一通り聞いてから、口を開いた。

「怖い人だったらどうしようって、ちょっと泣きそうでした。やさしそうなプロデューサーさんで安心です」

「それは良かった」

 プロデューサーさんは、大げさに安堵の溜息を吐いてみせた。

 その様子が少し面白く、気が抜けてしまったのか、私は心中にくすぶっていた疑問を投げかけた。

「プロデューサーさん、ホントに千枝、アイドルになれる?」

「もちろん。千枝ちゃんなら、トップアイドルになれるさ」

 私の目をまっすぐ見つめながら、プロデューサーさんは言う。彼のまっすぐな視線と、名前を呼ばれたこととの二つの理由で、私は照れ笑いを浮かべたのだ。



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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/09(日) 00:25:37.73 ID:j7T+CQqZ0
 仕事の合間、ふとプロデューサーさんを見ると、彼の着ているシャツのボタンの一つが外れかかっていることに気づいた。そのことを彼に指摘すると、彼は恥ずかしげに頬をかき、外で引っ掛けてしまったのだと教えてくれた。

「まあ、家に帰るまでの我慢だな」

 そう言って、プロデューサーさんは外れかけたボタンを揺らした。
以下略



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