過去ログ - 岡崎泰葉「マイ・パッション」
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21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/09(日) 18:20:04.33 ID:sFJRaXSc0

問われた台詞に、声が詰まりました。
咄嗟に、何も返せなかった。

楽しい? どうして、そんなことを聞くの?
そんなの……そんなのは…………。……あれ。

簡単に出せると思った答えは、出ませんでした。

私は……アイドルのお仕事を、楽しめている……のかな。

アイドルだけじゃない。芸能界のお仕事、全て。

……初めの頃は……私がずっと小さい頃は、頑張ることで、みんなが喜んでくれた。
私は嬉しかった。求められている気がして、誇らしかった。お仕事は楽しかった。

……それが虚像にすぎないと気づいたのは、いつのことだっただろう。

いつからか、誰も私を見てくれなくなって。
陳列棚の隅っこに追いやられた売れ残りみたいに、その存在を忘れられて。

今は……。

「……」

返事もできずに、うつむくだけが、私の精一杯でした。

「あー……本来、こういうのは御法度なんだけど……」

言いづらそうに切り出した声で、私は目を上げました。
次は何を言われるか。身構えたところで。

「君、うちの事務所に来ないか?」

「「ええっ!?」」

二人分の驚いた声が、大して広くないスペースに響きました。


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