25: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/15(土) 00:55:34.65 ID:MBAzp3vzo
『P、さん……』
あの人の名前を、小さく呼びました。それとほとんど同時に、がちゃり、と事務所のドアが開く音がします。私は少し体を震わせて、振り返りました。
そこに居たのは、Pさんでした。彼は肩で息をして、とても急いでいるように見えました。それは、私が知っているいつものPさんです。
ですが、表情はまるで違います。
彼の顔はまず驚き、次第に焦りが混ざっていくように見えました。そしてその目は、私が持っている小さなカードホルダーに向けられています。
彼は口を開きました。とても静かなのに、今まで聞いた事のないほど、低い声で。
「――返せ。それを、俺に返すんだ、茄子さん」
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