44: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/06/18(火) 17:56:58.68 ID:gq9TOo4jo
「最後にもう一つ、いいかい」
『はい、何でしょうか?』
これ以上俺に何か聞くことがあるのだろうか。まだ暴発を待っているのか。その手には乗らない。そう思いながら、少しうんざりとした気持ちを抱きつつ、俺は聞き返す。
「君にとって、アイドルとは利益を出すための道具なのか?」
『……ありえない』
思わず口をついてしまった言葉は、幸いにも社長には聞こえなかったらしい。俺は言葉を一つ一つ選び、そして頭の中で慌てて組み立てる。
『いつでも、私はアイドルのことを一番に考えていますよ、社長。それは、間違いありませんから』
そして、そんなテンプレートの様な言葉を、業務スマイルに添えて送りつけた。社長は小さく目を閉じると、言った。どうにも、測りかねているような表情だ。
「そうか……。いや、すまないねPくん、時間を取らせた」
『いえ……。それでは、失礼します』
俺は、勝った。喜ばしい事のはずだ。だが、心は晴れない。やはり、どこか胸糞の悪さは取れない。
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