8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/06/12(水) 20:53:13.86 ID:vLNSj/6Bo
恵美は話を聞いている様子もなく、枝豆の皮を剥く作業に熱中していた。
手がすべり落下する枝豆を見て、それでいいのか勇者と敵の心配をする真奥。
梨香「恵美のことどう思ってる?」
真奥「……どういう意味の質問か知らんが、見たまんまだろ。怒りっぽくてうるさい」
梨香「それがね、恵美がそんなにムキになるのって真奥さん関係のときだけなのよね」
梨香「会社じゃ人当たりも良くって皆から人気なんだから」
梨香「だから私は、敵とか言いつつも真奥さんに思うところがあるんじゃないかな? と考えてるワケなんだけど」
真奥は思う。それは、誤りだ。
なるほど確かに、真奥と恵美が普通の日本人同士ならその可能性もあろう。
人間、本当に嫌う相手には関わる気も起きないものだ。
嫌いと言いながら相手に付きまとう様は、好意の裏返しと見えてもおかしくはあるまい。
だが真奥と恵美の場合、それは当てはまらない。
真奥は恵美の世界を征服しようとした魔王であり。
恵美は真奥に父親を殺され復讐を誓った勇者である限り。
恵美が真奥から離れないのは、いつか真奥をその手で殺すためなのだから。
真奥(……いや、でも。確かに)
深く考えたことはなかった。
否、考えることを半ば放棄していた。どうせ人間の考えなど分からないのだからと。
真奥(何故こいつは、……俺を殺さないんだ)
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