過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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207: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/06/28(金) 20:00:11.82 ID:OJWBqZ2T0

 ダリルが機体を滑走路の端に止めた。管制塔と何かを話して、すぐに機体を離陸させる。

高度を上げているダリルにアタシは話しかけずにはいられなかった。

「あんたが傭兵の真似事なんてな」

「物騒な言い方をするなよ。俺はあくまでコーディネーター。作戦を提示して、あとは基本的にはなにもしない」

ダリルは不満そうに言った。それから渋い顔をして

「しかし、そうか。お前が噛んでんのかよ。こりゃぁタダ働きするしかなさそうだな。

 おい、小娘、こっちの女に良く感謝しとけよ」

とキキに言った。

「あんた達、知り合いなのかよ?」

キキも驚いた顔をしている。

「腐れ縁だな、ここまで来ると」

ダリルがそう言って笑った。その言い草になんだかアタシも可笑しくなった。確かに、これは腐れ縁だ。

「連邦にいたころ、同じ部隊の同期だったんだよ。悪ガキコンビでさ」

アタシは笑いながらキキとハンナにそう説明した。ハンナはクスッと笑ってくれた。

「で、どういう状況なんだよ?」

ダリルがそう聞いてくる。

「コーディネートしてるんだろう?当ててみろよ」

「捕まってるって女が、お前の知り合いなのか?」

「ご名答」

さすがはダリル。物わかりが早くて助かる。

 「8年前に、途中まで一緒に逃げてた人なんだ。戦争が終わってからも、家族ぐるみで付き合いがあったんだけどさ」

アタシはこれまでの経緯と、子ども達とアイナさん達の関係もダリルに説明する。

するとダリルは、急に声を上げて笑い出した。

「なるほど、な。つまり、あれだ。俺たちは8年前と同じことをしようとしてるってことだな」

「まぁ、状況に差はあれ、そうなるな」

アタシが肩をすくめると、ダリルはニッと笑った。

「それなら、すこし真剣にならないとまずいな。しくじるわけには行かない」

「ちょっと待て!あんた、この人じゃなかったら手を抜くつもりだったのかよ?!」

キキが急に顔色を変えてダリルに食って掛かった。

「いや、そうじゃねえけどよ。こいつを巻き込むと、ロクなことにならねえんだよ」

ダリルは笑う。

 まぁ、あんたにはそう言われても仕方ない。

これまでのことを考えりゃぁ、あんたとアタシが揃って、ロクなことした試しがないからな。

いつのまにかアタシは、すっかり安心してしまっていた。まるで、昨日、カレンと庭を警戒したあとと同じような心持ちだった。
ダリルとは、どんな危険なことも、ちょいちょいっと抜け道をついてやってきた。

こいつとアタシが揃えば、隊長だって出し抜けたかもしれない。

 待ってろ、アイナさん。すぐに行くからな。それまで、殺されるなよ。死ぬなよ。

うまく生き抜いててくれ。絶対に、アタシが助け出してやるからな…!


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