過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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286: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/03(水) 22:00:20.92 ID:RggOFisF0


 アタシは、駆け出した。ハンナの方を振り返らなかった。あいつは、やる。必ず、レオナを助け出す。

アタシも急がなきゃいけない…レナと、そしてレベッカを助けなきゃ!

 走りながら、見取り図を見つつさらに感覚を研ぎ澄ませる。何も感じない、何も触れない。

おい、レナ…死んでなんかないよな…!?頼む、何かを言ってくれ…何かを考えてくれよ!

ここにいるって、そう叫んでくれよ…レナ…レナ!!!

 唐突に、見取り図に赤い点が灯った。なんだ、これ…?

 アタシは思わず、脚を止めた。

その点は、地下5階をぐるっと一周している廊下の反対側にある小部屋をマーキングしているようだった。ダリルからか?

でも…まだ無線は生き返ってない。ここへ信号が届くはずがないから、少なくともダリルではない。

罠か…?ここに何がある…?レナか…?レナが、呼んでんのか!?

 直感的に、そう思った。何を感じたわけでもない。だけど、そこに行くべきだと、思った。そこにレナがいる…

まるで、何かに導かれるようだった。

 全力で回廊を駆け抜ける。

 数メートル先に、突然なにかが飛び出してきた。人だ。男…連邦の軍服を着ている…銃は持ってないが…なんだ…この感じ!?

 肌に、まるで粘りつくような奇妙な感覚が走った。

―――こいつ…やばい!

アタシはとっさに、自動小銃を構えた。しかし、男はそれに怖気付くこともなくアタシに飛びかかってきた。

銃口の先から男が消える。まずい…しゃがみこんだ…タックルが来る!

アタシは小銃を持ち替えて、銃床を真下にたたきつける。鈍い衝撃が腕に響く。

男は、床に這いつくばるようなかっこうで、それを受け止めた。

―――なんだ、この力!?

男は、そのまま銃を押し上げるようにして、アタシを壁際まで突き飛ばす。強烈に、背中を打ちつけて、一瞬呼吸が止る。

 こいつ!ニュータイプみたいだけど、そうじゃない!これが、強化人間ってやつなのか!?

 男は間髪入れずにアタシに飛びかかってきた。背中を打ってしまったせいで反応が遅れる。

たちまち馬乗りになられたアタシは小銃すら弾かれて、抵抗する間もなく、首を締め上げられる。

 くそっ…!こいつ…!

 体勢を入れ替えることも、腕を押し返すことも、振り払える気すらしない。

めりめりと首に指が食い込んで、酸素と、血液の循環が妨げられる。まずい、トぶ…!

 アタシは、悶えながら腰のポーチからそいつを取り出して、男の体に押し付けた。

とたんに、男はビクビクと全身を痙攣させて、床に崩れ落ちる。

「…っ、かはっ…はぁ…はぁ…」

肺と脳が熱くなっていた…危ないところだったな、今のは…

アタシは、何とか立ち上がって、ポーチへスタンガンを戻して、小銃を拾い上げた。

 こんなのが、ハンナやマークの方に行ってなきゃいいけど…そう思いながら、アタシはまた廊下を駆け出した。

レナ…そこにいるのかよ、レナ!


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