過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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328: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/07(日) 23:44:19.98 ID:nBQnR4x30

 良い夜だ、か。まったく、その通りだな。

俺は、デッキに出て、マライアさんにもらったビールを片手に、空を見上げていた。

部屋に通されたけど寝る気になんて、ならなかった。この開放的な気持ちを、もっともっと味わっていたかったからだ。

 俺のしたことなんか、大したことはない。口から出まかせを言って、あの無線モジュールを繋げただけ。

敵と戦ったわけじゃない。自分の手で、レオナを取り戻したわけでもない。

でも、なんだか無性にすがすがしくて、気分が良い。あぁ、そうだ。

俺は、やったんだ。きっと初めて自分の義ってやつを貫き通した。だから、こんな気分なんだろう。

 空港でニケたちに再開したとき、あいつら、まるで幽霊を見るみたいに俺を見つめてから、こぞって飛びついてきて大変だった。

だけど、俺は、あいつらをちゃんと受け止めることができた。脚が痛かったしよろけたが、そう言う話じゃない。

もっと精神的な部分だ。ニュータイプのあいつらを、俺は、まるで弟や妹みたいに思って、再会を喜べた。

そのことが、どうしてか嬉しくてたまらなかった。

それもこれも、マライアさんが助けてくれたことと、それから、アヤさんが信じてくれたからこそ、だ。

 あのアヤさんって人は本当に不思議だ。

ニュータイプらしいけど、レオナやニケたちに感じたような壁は全くと言っていいほどなかった。

マライアさんも、レナさんもそうだったけど、それはあのアヤさんあってのことだと思う。

ニュータイプってのは、感じ取ることに優れているものだと思っていたが、

あのアヤさんは、感じ取るだけじゃなくて、まるで自分の意思や勇気を相手を選ばずに伝えることが出来る様な、

そんな感じだった。

 もしかしたら、ジョニーの話の中にあった、人を惹きつけるタイプのニュータイプなのかもしれない。

いや、おそらく惹きつけるだけじゃなくて、ある種の変革ももたらす人だ。

あの人の、強烈な「繋がろう」とする気持ちは、人と人の間のわだかまりなんて簡単に打ち壊して、

まるで古くからの友人みたいに手と手を取り合うような気持ちにさせる。

ただそれは、能力よりも人柄なのかもしれない、とも思う。話を聞けば、小さい頃からいろんな苦労をしてきたっていうし。

そう考えたら、ジョニーの言った、希望としてのニュータイプの、さきがけなのかもしれない。

 ニケたちも、あの人のように、苦労を乗り越えて、何かをつかめば、もしかしたら、

たくさんの人を幸せに出来る様な人になるのかもしれない。

 あいつらには、そう言う未来を望んでやりたい。



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