過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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331: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/07(日) 23:46:06.37 ID:nBQnR4x30

「私は…」

ハンナが口を開いた。

「私は、ニケたちについて行こうと思ってる。あの子達には、親とか、そう言う頼るべき存在が必要だと思う。

 あの子達がこれから、カラバに引き渡されてどこで生活するかわからないけど、

 私は、あの子達が、せめて自分で生活を立てられるようになるまでは一緒に居て見守ってあげたい」

ハンナは、言った。そうか…だとしたら、俺は…俺は…

「マークは、ハンナについて行くでしょう?」

レオナが、先にそう言ってきた。そうだ、その通りだ…

「あぁ、ハンナがそう言うのなら、そうしようと思う」

「そうだよね」

レオナは、また笑顔を見せた。なぜだか、胸がキリキリと痛む。

でも、レオナは辛そうな表情で、しかし、はっきりとした口調で言った。

「お別れだね」

 その言葉は、俺の胸に、ずっしりと圧し掛かった。なんでだろうな…本当にちょっとの間しか一緒にいなかったのに…

今生の別れってわけでもないのに、どうしてこんなに気持ちが重くなるんだ…。

「マークのことが、好きだった」

―――あぁ、そうだ

「こんな私を、私たちを、助けて、それで、自分の気持ちと戦いながら、

 一生懸命に向き合ってくれようとしていたあなたに惹かれた。

 生まれてきて、初めて、普通の人の、暖かさに触れた気がした。大事に想われてるんだなって、そう感じられた」

―――分かってただろうに、俺は…また、同じことを繰り返すところだった…

レオナは、目に涙をいっぱい溜めて、それでも続ける。

「だから私も、戦えた。レナさんと一緒につかまって、レナさんの拷問を見せられても、道具だって言い捨てられても、

 私は、絶望しなかった。負けなかった。あなたが信じてくれたから。優しくしてくれたから。

 私たちのために、戦ってくれたから…」

「レオナ…」

ハンナが、彼女の肩を抱く。

「だから、お別れは、寂しいよ」

レオナ、そんなに俺のことを大事に想ってくれてたか…俺は…俺は、なんて声を掛けてやればいいんだろう…

「…別れなんかじゃない」

考えるよりも早く、俺はそう口にしていた。


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