過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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456: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/07/30(火) 22:21:38.97 ID:tVi3RIMI0

 「そうだったのか…変な言いがかりをつけて、悪かったよ」

彼は静かに言った。これは、いけそう、かな?

「プルツーちゃんて、この子の…姉妹、だよね。もともとの家族が、一生懸命居場所を探しているんだ。

 もし、生きてるんなら、居場所を教えてくれないかな?」

あたしがそういうと、少年はあたしとマリを見つめてきた。まるで、何か品定めをするかのような視線。

違う、この子、ニュータイプだ…!あたし達の腹のうちを探ろうとしている。

まぁ、探られて痛む腹じゃないから、なるだけ良く見てもらえるように、こっちもこの探りの感覚を受け入れてみる。


 どれくらい経ったか、彼はふうとため息をついて、静かに口にした。

「この病院にいるよ…」

え…ここに?!驚いた。こんな偶然…でも、待って、じゃぁ、会える…の?

「その…会って、話をできたり、するのかな?」

あたしが聞いてみると、彼は力なく首を横に振った。それから、沈んだ声でこういうのだ。

「意識が戻らないんだ。もう、一週間近くになる…」

彼の表情は一転して真っ暗になってしまった。

 「意識が…?まさか、戦闘で?」

あたしが聞くと彼は相変わらずのしょげた顔で

「そうなんだ…」

とつぶやいた。

 そっか…そんな状態だから、こんな近くにいても分からなかったんだ。でも、生きて、この場所にいるんだね。

会わなきゃ…とにかく、その子に…。

 「連れて行って、あたし達を」

気が付いたら、あたしは彼にそんなことを頼んでいた。彼は、神妙な面持ちで、コクっとうなずいた。

 それからあたし達は、5階にあった個室へと案内された。

「ここだ」

彼はそう言って、病室のドアを開けた。

 急に、胸が苦しくなる。これは、プルツーの感覚…?ううん、違うね。これは…単なるあたしの緊張だ。

戦闘でのケガ…しかも、場所は、宇宙だ。もし…もし、コクピットから投げ出されて、

ノーマルスーツが破損していたりしたら、真空に皮膚がさらされて、血液が沸騰して、どんな状態になってるか…。

脳裏に浮かんできたのは、宇宙で戦死した仲間の遺体や、腕と脚が吹き飛んだ、8年前のソフィア姿だった。

ゴクッと唾を飲み込んで、握っていたマリの手を握りしめてしまう。

 「マライアちゃん、大丈夫だよ」

不意にマリが言った。その顔を見たら、マリは満面の笑みを浮かべていた。

「2番目の姉さんには初めて会うけど、姉さん、苦しんでる感じしないんだ。だから、きっと平気」

「マリ…うん、そうだよね…」

あたしは、マリの言葉を聞いて、気持ちを決めた。



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