過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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497: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/10(土) 20:00:49.18 ID:Wzwnx14z0

「わたし達に…?」

プルツーが顔をあげる。

「うん…私は、誰よりもあなた達に、生きる意味をあげたいの。美味しいものを食べたり、遊んだり、

 大切な誰かと一緒にいることも嬉しくて幸せだけど…でも、分かるんだ。私もそうだから。

 楽しいことがあっても、私達の心にはどこかぽっかり小さな穴が空いてて、

 幸せなときも、どこかで虚しさを感じてる。寂しさを感じてる。誰かと一緒に居たいって願ってる。

 優しくして欲しい、愛されたいって、そう思ってる。でもきっと、それは“誰か”では埋まらないんだよ。

 私達が、自分は何者か、ってことを理解して、それで、そんな自分をそれでもいい、って思えるまでは…ね」

「分からないよ…そんなの…」

プルツーはレオナの話にそうとだけ返して、また、俯いた。

 レオナの話、何となく分かるな…たぶん、昔のあたしがそうだったんだ。

みんなに認めてほしくて、みんなと一緒に居ようとしたけど、結局、自分の情けなさを痛感するだけで、

心の隅っこでいつも孤独を感じてた。

いつまで経ってもヒヨッ子で、甘ったれで弱虫なマライア・アトウッドだった。

ソフィアの決断と、アヤさんの発破で宇宙に飛び出したあたしは、こんな知り合いも誰もいない暗い場所で初めて、

大好きだったオメガ隊に居るために必要だったものが、一緒に居たいって思う気持ちとは真反対の、

自立心だったってことに気がついた。

 守られるだけの存在じゃなく、仲間として一緒に居るために、隊長やアヤさんに憧れてマネするんじゃなく、

あたしはあたしだ!って、言い切れるようにならなきゃいけなかったんだと思う。

そうなって初めてあたしは、アヤさんにも隊長達にも困ったときには頼られる、オメガ隊員の一人になれた。

 まったくおんなじってワケじゃないけど、レオナの言っていることは、レオナはレオナだって、

自分自身が言い切れるようになること、なんだよね。

 マリやプルツーにも同じことを感じて欲しくて、そのためには、自分達がどういう人間なのかを、

事実がどんなであれ、伝えてあげたいんだ。

 そしてたぶん、それを受け入れた二人が、道具じゃない、人間として生きる、って決められるときまで、

そばで見守るつもりでいるんだろう。

宇宙へ飛び出して連絡も極力絶っていたあたしを、忘れることなく、

帰ったときに「おかえり」って、言ってくれた、隊のみんなとおんなじようにね。


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