過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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510: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/11(日) 12:26:48.07 ID:iPU4IZC90





 その晩、あたし達は、昼間見つけたビルのそばにいた。

車を道端に止めて、あたりの様子を伺う。車に乗っているのは、あたしとレオナ。

ルーカスとマリは、別働で支援をお願いしている。まぁ、正直、マリをこっちに引っ張ってくるわけにはいかなかったし、

かといってシャトルで一人留守番をお願いするのも、イヤがるだろうしね…。

それに、マリのニュータイプの感覚はもしものとき、無線なんかよりもよっぽど頼りになるかもしれない。

そういう意味では、支援としてすごくありがたい存在だ。

 「マライア、大丈夫」

外を見回して、レオナが言った。あたしも周囲を確認する。人影は、ない。

 あたし達は車を降りた。ドアをそっと閉めて、建物へと近づく。

昼間、買出しの帰りに、この建物によって、警備システムの回線にデータ送受信用のモジュールをバイパスさせておいた。

あたしが教えたとおりにルーカスがやれていれば、もうじき、オッケーの連絡がくるはず…。

 ブブッと、PDFが震えた。あたしはポケットからPDFを取り出してそっとモニターを確認する。

ルーカスから、「処理完了」とだけのメッセージが届いている。さすがルーカス!頼りにしてるよ…。

 あたしはレオナの目を見て一度だけ確認する。レオナも、あたしの目を見て、うなずいた。

 あたしは、腰から下げていたポーチから先端の曲がった細い金属の棒を取り出した。ピッキングツールだ。

潜入の基本だよね。

 その棒を、ビルの出入り口にあるガラス戸の鍵穴に差し込んで手ごたえを探る。カキカキと、金属同士が擦れ合う。

鍵穴の中にある突起物に、先端を何とか引っ掛けて、それをクイッと捻りあげる。カチッと音がした。

ゆっくりとドアを押し込む。ガラス戸は、キィっと音を立てて開いた。

二人でそろって中に入り、内側から鍵を閉める。それからレオナに懐中電灯を渡し、あたしは拳銃を抜いた。

モビルスーツと違って、生身のやり取りはそれほど得意じゃない。

アヤさんにあれこれ教わったけど、アヤさんに比べて体の小さいあたしは、基本的にリーチが短くてちょっと不便なんだ。

どっちかって言うと、ユージェニーさんに教えてもらった体術の方が慣れてはいるんだけど、

あれはあれで相手に密着しないと仕えないから、相手が武装なんかしてるときには奇襲でもしない限り、

まったく手が出なくなってしまう。小さいころにもうちょっと牛乳とか飲んで置くんだったな…

って、あれは迷信なんだっけ?

 あたしとレオナは階下へと続く階段を発見した。ふぅ、と息を吐いて、あたしが先に階段を降りる。

クッと胸が苦しくなってくる。それを軽くするために、音が出ないようにしながら、さらにゆっくり息を吐く。

バクバク言い始めた心臓をなだめながら、一歩一歩階段を下る。


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