過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
1- 20
535: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/12(月) 21:18:22.24 ID:nGGHAbg30



UC0070.1.16



 「よぉ、姫さまは元気か?」

そんなことを言いながら、ユリウスが久しぶりに顔を出してくれた。

私はレオナと近所の公園に行く準備をしていたところだった。

「あー!ユーリ!」

3歳になったレオナが黄色い声を上げる。その気持ちは痛いほど良く分かる。

私だって、黄色い声のひとつも上げたい。

「ユリウス、久しぶり」

私は、胸の中に湧き上がる思いを押し込みつつ、そう声をかける。するとユリウスは、怪訝な顔をして

「久しぶりって…一週間留守にしてただけだろう?」

と言ってきた。その一週間が、長かった、っていうんだ。

学会発表だかなんだか知らないけど、妻と子どもを置いていくなんてどういうことよ!

 文句を言ってやろうと思ったけど、私はともかく、レオナはこの研究所を出るには、ずいぶんと手のかかる手続きが要る。

そこまでしたって、学会なんか、難しい顔した堅物か変人ばかりで、レオナが楽しめるとは思えない。

3歳になって、おしゃべりもずいぶん達者になってきたとは言え、

いくらなんだって研究発表を聞かせるなんて飛び級過ぎる。今のレオナには、絵本くらいがちょうどいい。

最近のお気に入りは、「お菓子のいえ」が出てくるから、という理由で「ヘンゼルとグレーテル」だ。

まったく、食いしん坊だなぁ、レオナは。

「あのね、レオナね、公園行くの!」

レオナは得意げにユリウスに報告している。ユリウスは、そんなレオナの頭をゴシゴシっとなでて

「そんなら、あたしも一緒に行ってもいいか?」

とレオナに聞いた。レオナは満面の笑みで

「うん!ユーリも行く!」

と返事をして、彼女の手を握った。

 うんうん、親子三人、水入らずで、幸せだよ、私さぁ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
837Res/1090.45 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice