過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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547: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/13(火) 20:07:36.71 ID:VbWE6aCM0

 いつの時代も、科学は戦争に利用される。悲しいことだが、かと言って、研究をやめるわけにはいかなかった。

暴走した科学を抑えるのもまた、科学の役目。

せめて、自分の開発したものが、人を殺すためではなく、人を守るために使われることを祈るばかり、だ。

ドクターミノフスキーも、数年前にそれを理由に連邦へ亡命してしまった。ドクターの想いも理解できる。

まぁ、理論ばかりでまともな発見も開発もできていない私にとっては、まだ縁遠い話ではあるんだが。

 「ママ、難しい話?」

ドーナツを頬張ったレオナが、私の顔を覗き込んでくる。複雑に思っていた私の胸の内を感じ取ったようだった。

私はレオナに笑ってあげた。

「ん、ちょっと考え事。大人って、大変」

「ん、大変そう」

レオナはムムムっと眉間にしわを寄せて考えるようなしぐさを見せた。あはは、そうだな。

レオナ、あなた達子どもが生きて行く未来に、せめて明るい希望が残せるような発見をしておきたいもんだ。

「リモートコントロールで作業ねぇ、まぁ、精度が確かになるんなら便利っちゃ、便利だけどな」

「リモートコンロトールじゃないんだ」

「えぇ?」

「これは、新しいタイプのマン・マシン・インターフェイス。名付けて、サイコ・コミュニケーター」

私が自信満々に言ってやったら、ユリウスはいつもどおりにカカカと笑った。なんだよ、笑うところじゃないぞ!?

「仰々しい名前だな。それに見合う開発が出来る様に祈ってるよ」

ユリウスはニヤニヤしながら、残りのドーナツを口に頬り投げて、紅茶をすすった。

それからふと、気が付いたみたいに

「そういや、この紅茶。良い香りだな」

なんて話を変えた。うん、そうだ。せっかく3人でいるんだし、仕事の話は、やめにしよう。

もっと、楽しい話をするべきだ。

 それから私たちは、レオナの自由研究の話題で盛り上がった。

学校の宿題じゃなくて、私とユリウスからそれぞれご褒美をもらうための研究だ。

レオナは、私の人間工学でも、ユリウスの遺伝子学でもない、化学に興味があるらしかった。

 そんなレオナが決めた自由研究は、ずばり、科学調合によるうま味成分の再現、だ。

要するに、おいしい料理の味を如何にして科学調合で再現して、あのマズイチューブ食をおいしく召し上がれるようにするか。

ホントに、食いしん坊のレオナらしい。楽しみにしてるよ、って言ってやったらレオナは胸を張って

「任せて!」

なんて言ってきた。これは、ゆくゆくは私達なんか抜かされるくらいの科学者になってくれるかもね、レオナは。



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