過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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550: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/13(火) 20:10:24.53 ID:VbWE6aCM0

UC0075.11.13

 あぁ、いよいよ来てしまった。今日は、執行部会から支持のあった日。

レオナが、この部屋を出て行く日だ。レオナには何ヶ月も前にこの話を伝えていた。

でも彼女は、別段寂しそうな顔を見せずに、

「わかった」

と言って、笑っていた。

 今日も、そうだった。

昨晩から荷物の整理をしていたが、私はそのときからずっと、突き上げるような不安感と悲しみで、心が壊れて泣き崩れそうだった。

だけど、レオナは、洋服や本なんかを几帳面に箱に詰めながら、動揺1つ見せずにいた。

 どうしてなんだろう。私、何か間違ってんのかな。

一生懸命、レオナを育ててきたつもりだったけど、レオナは別れが寂しくないんだろうか?

それとも、崩れてしまいそうな私を思って、気を使ってくれているんだろうか?

 お昼過ぎ、この部屋で食べる最後の昼食を摂り終えたころに、ユリウスが戻ってきた。

口を真一文字に結んで、険しい表情をしている。

それなのにレオナは、よく面倒をみてくれていた研究員が用意してくれた台車に自分の荷物を積み上げて

「お待たせー」

なんて軽い様子で、ユリウスと私の前に姿を現した。

「準備、出来てるみたいだな」

ユリウスは低い声でレオナに確認する。

「うん!大丈夫!」

レオナは、はつらつとしていた。

「じゃぁ、アリス。行って来る」

ユリウスは私にそう確認した。私は、昨晩、ここで見送るようにとユリウスに言われていた。

私の状態を察したユリウスの、厳しいやさしさだった。

 私はうなずいて、レオナを抱きしめた。

「レオナ…ママは、おなじ建物の中にいるから、寂しく思わなくたっていいんだからね」

それは、レオナに、というより、自分に言い聞かせるようにそう言った。

レオナは、そんな私の頭をゴシゴシとなでてくれた。

「ママ、わたし、寂しくないから、大丈夫だよ」

レオナは少しだけ不安そうな顔をした。でも、その顔は自分が不安なんじゃない。

私のこんな状態を心配してくれているからだ。それから、ふと、私の首元に目をやって

「ね、それ、ちょうだい?」

と指さしていってきた。レオナが際示したのは、私のつけていたチョーカーだった。私は、チラッとユリウスを見やる。

「かまわないよ、それくらい」

ユリウスは言ってくれた。私はチョーカーをはずしてレオナの首にかける。彼女はうれしそうにして

「これで、わたしとママはいつでも一緒だよ!だから、大丈夫だよ!」

と笑う。レオナ…私、ダメなお母さんだね…子どものあんたに、こんな気の使い方させてさ…

 私は、気持ちを押し殺してうなずいた。レオナはまた、ニコッと笑った。

「じゃぁ、行って来ます、ママ!」

元気にそういって、レオナは部屋を出て行った。


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