過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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564: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/14(水) 22:51:27.48 ID:p5dyD009o



 翌日、私は朝食を摂ってから、ユリウスに連れられて感応能力研究棟へと向かった。

そこは、想像していたよりも明るくて清潔で、子ども向けの施設らしく、庭や遊具があったり、

棟内にもおもちゃや絵本がたくさんあった。一見すれば、良い環境だと思える。

だが、レオナを“取られた”私にとっては、そんなものも、子どもをここに無理やり適応させるための道具にしか見えなかった。

 子ども達の走り回る廊下を抜けて、ユリウスは一つの部屋のドアをノックした。

ガチャッとドアが開いて姿を見せたのは、レオナだった。

 レオナは見るからに元気そうにしていた。前に会ったのは確か、一週間も前だ。それも、チラッと私が見かけただけ。

一緒に住んでいた部屋を出て行った時から、ちょっと髪が伸びている。

でも、かわいい笑顔はこれっぽっちも変わってはいなかった。

「ママ!」

レオナは私を見るなり、全力で私に飛びついて来た。目一杯、ギュウギュウに抱きしめてやる。

「ママ、昨日は先に寝ちゃってごめんね」

レオナはさも当然のようにそんなことを言ってきた。

私はユリウスと顔を見合わせて、それからしばらくはその話について根掘り葉掘り聞いていた。

 なんでも、物心つくころには、すでに意識してあれが出来ていたらしい。

そばにいる私達には使うことはなかったけど、施設内にいる他の子と話をする、なんてこともできたようだ。

この棟に移ってきて、いろいろな実験やトレーニングを受けている中で、

徐々にそれが鮮明に使いこなせるようになってきたのだという。

昨日私に“話しかけて”来たのは、なんとなく、疲れている感じが伝わってきたからだ、と言った。

感応能力は感じるだけのものだと思っていたが、そもそもがコミュニケーション能力の側面を持っていたんだ…

受け取るだけではなく、発信もできたなんて…私のサイコミュの実験は、間違ってなかったんだ…。

 一瞬、頭の中があの実験のことで埋め尽くされそうになったので、私はいったん、考えるのをやめた。

今日は、レオナと過ごすって決めたんだ。仕事のことを考えるのは、やめよう。



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