過去ログ - ムラサメ研究所を脱走してきたニュータイプ幼女たちが…
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585: ◆EhtsT9zeko[saga]
2013/08/15(木) 22:11:57.17 ID:oUgkPfPRo

 それからあたし達は、そろって港を出て、タクシーでホテルへと向かった。

カフェに入ると、一番奥の席に、ジュドーとプルツーが座っているのが見えた。

「ジュドー、お待たせ」

あたしが声を掛けると、ジュドーがこっちを向いて、無言で手を振ってきた。

 席について、とりあえず、飲み物だけを注文した。

話がある、ってのは分かっていたので、マリは素直に、オレンジジュースを頼んで大人しくしている。

 ふぅ、さて、話をしなきゃな…チラッとレオナを見やったら、彼女もすこし神妙な面持ちでコクッと頷いた。

今日、説明するのはあたしの仕事だ。レオナが出て行くことを言ってしまうと、プルツーの動揺を大きくしてしまいかねない。

できる限り中立のあたしがしないと…。

 「サイド5で、情報を手に入れて来たよ」

あたしは、口火を切った。ジュドーとプルツーは黙ってあたしを見つめてくる。

「そこで、レオナの過去を調べた。いろんなことが分かった…

 レオナがどうして生まれたのか、とか、どんな生活をしていたのか、とか、

 お母さんが死んじゃったってことも、全部わかった…」

「姉さん…」

プルツーが、そう不安そうに声を上げた。レオナのことを心配しているんだろう。それを聞いたレオナは、

「ん、大丈夫だよ」

と明るくプルツーに言っている。

 「…でも、レオナのお母さんと一緒にレオナを育ててくれた、もう一人の女性が、まだ生きてるかもしれないんだ」

「もう一人の女性?」

ジュドーが聞き返してくる。うーん、二人の関係って、うまく説明しづらいよな…。

いくらしっかりしているからって、14歳にそう言う、オトナの難しい状況をうまく飲み込んでもらえるかどうか…

しかたない、当たり障りない程度にしておこうか…

「説明が難しいんだけど…育ての親、みたいな人、かな」

あたしがそう言ったら、ジュドーは納得したようで「ああ」と声に出しながらうなずいた。

「その人は、たぶん、9年前の戦争のあと、アクシズに逃れている。

 今回の紛争でどうなったかって足取りはつかめてないんだ。

 でも、あたし達はレオナとその人を会わせてあげたいって思ってる。

 だから、今度はサイド3を拠点にするんじゃなくて、宇宙をあちこち彷徨うことになると思う」

あたしは、コクッと息を飲んだ。あぁ、これ言うの、イヤだな…。

「だから、プルツー。あたし達は、近いうちにサイド3を出る。だから、あなたに選んでもらわなきゃいけない…」

あたしはプルツーの顔を見た。思ったほどの動揺はない。むしろ、キュッと真剣な顔をしてあたしを見つめ返してきている。
 


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